原著
終末期がん患者が「明るさを失わずに過ごす」ための医療者の支援のあり方 緩和ケア病棟の医師・看護師を対象としたエキスパート・インタビュー調査

2013.05.15

 Miyashitaらは,望ましい死の概念化に引き続き,がん診療連携拠点病院56 施設の一般病棟,緩和ケア病棟100 施設,在宅ケア施設14施設で死亡したがん患者の遺族それぞれ2,560名,5,311名,292名を対象に,終末期がん患者の望ましい
死の達成を評価する調査を行った。「楽しみになることがあった」と回答した遺族は,がん診療連携拠点病院の一般病棟で31%,緩和ケア病棟で51%,在宅では66%であった。患者個々の楽しみや明るさは必要であるにも関わらず,実現できていないのが現状である。

 これらの結果から,医療者は,終末期がん患者が「楽しみになることがある」「明るさを失わずに過ごす」ために支援していく必要があると考えたが,これらの支援を体系的に明らかにした研究は,国内外ともに,質的・量的調査を含めてなかった。そのため,本研究では,緩和ケア病棟で,緩和ケアに熟練した専門家である医師22名と,看護師23名が提供する具体的な支援方法をインタビュー調査し,質的分析を行った。その結果,終末期がん患者が「楽しみになることがある」ための支援方法は,患者の日常生活を支援し,患者個々の楽しみを大切にするケアが明らかとなった。

 本研究では,次の段階として「明るさを失わずに過ごす」ための支援を体系的に明らかにすることで,終末期がん患者の望ましい死の達成により貢献できると考える。

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