わが国のがん患者数は年々増加しており,がんは治る病気と認識されるようにもなってきた。しかし,従前どおり,「がん」は多くの人にとって死を意識させ,恐怖に陥れる病でもある。家族の中でその一員が「がん」に罹患すると,本人だけでなく,他の家族員も多大な影響を受ける。
今回,がんと診断されて治療を続けてきた女性が,余命が長くないことを知った。本人は自宅で家族とゆっくり過ごしたいと希望するが,夫は「絶対に治療をしてほしい」と,夫婦間で意見が対立した事例に出会った。
そこで,医療チームは,家族との話し合いをもち,家族間の意思決定の調整をしたいと考えた。