本稿では,がん患者の,療養中に併発した大腿骨頸部/転子部骨折(骨転移に伴う病的骨折を除く)を扱う。生命予後としては,おおよそ3 カ月以内を想定する。
大腿骨頸部/転子部骨折は,高齢化に伴って増加している骨折である。大腿骨頸部/転子部骨折は,寝たきりの原因となり,また生命予後の短縮とも関わっており,1 つの社会問題と認識されている。2007 年の年間発生数は15 万例であり,40 歳から年齢とともに増加し,70 歳を過ぎて急激に増加していた1)。この年齢層は,がんの好発年齢とも合致しており,骨転移の有無にかかわらず,がん患者が療養中にこの骨折を経験する可能性は,少なくないと考えられる。
「治療するかしないか」について悩む場面―新しく治療・ケアを始めるのか?
終末期がん患者に起きた,骨転移によらない,大腿骨頸部骨折
2015.08.21
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