近年,adolescent and young adult(以下,AYA)世代のがん患者(15〜39歳)の生存率や,生活の質(QOL)向上に向けたさまざまな試みが,国際的に活発になってきた。この背景として,AYA世代のがん患者は,「過去30年間で生存率の向上がみられない唯一の年代であること」「発達段階に関連する独特な生物学的・心理社会的特性が示唆されているにもかかわらず,支援が不十分であること」などが,明らかになったことが挙げられる1)。
本稿では,AYA 世代の中でも特に,若年成人がん患者(20〜30歳代)についての特徴を述べ,次に若年成人がん患者の緩和ケアや終末期ケアについて,臨床家が知っておきたい知見について概説する。