嶋田 和貴*1,3
谷向 仁*2,3
*1 京都大学大学院 医学研究科 臨床腫瘍薬理学・緩和医療学講座:
*2 京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 リハビリテーション科学コース 作業療法学講座脳機能リハビリテーション分野
*3 京都大学医学部附属病院 緩和ケアセンター/緩和医療科
緩和ケア領域におけるミダゾラム(ドルミカムⓇ)/フルニトラゼパム(ロヒプノールⓇ,サイレースⓇ)注射薬(以下,MDZ/FNZ)の使用指針は鎮静においては整っているが,不眠については海外を含めて明確な指針はなく,わが国でもいくつかの臨床研究が存在するのみである。しかしながら,わが国の緩和ケア病棟(palliative care unit;PCU)およびホスピスにおける調査では,終末期がん患者の不眠に対して,MDZ/FNZの点滴静注法が広く普及しており,特にMDZは調査対象施設の約80%で使用されていることが報告されている。本稿ではMDZ/FNZの安全な使用法について文献レビューとともに筆者らの経験を交えて概説する。