ソーシャルワーカー:歩んできたこと,そしてこれからへ向けて
田村 里子
WITH医療福祉実践研究所 がん・緩和ケア部
【キーワード】ソーシャルワーク,臨床倫理,social change agency
緩和ケアにおけるソーシャルワーク実践の歩みをふりかえり,今後のあり方を展望する。
わたしのしてきた仕事─ここに至る歩み
1. 相談援助の実践
キャリアを積むためにしてきたことは,ただひたすらに重ねてきた相談援助の実践であり,このキャリアの基盤と考える。
田村 里子
WITH医療福祉実践研究所 がん・緩和ケア部
【キーワード】ソーシャルワーク,臨床倫理,social change agency
緩和ケアにおけるソーシャルワーク実践の歩みをふりかえり,今後のあり方を展望する。
わたしのしてきた仕事─ここに至る歩み
1. 相談援助の実践
キャリアを積むためにしてきたことは,ただひたすらに重ねてきた相談援助の実践であり,このキャリアの基盤と考える。
前田 桂吾
フロンティアファーマシー
【キーワード】キャリアデザイン,思いの共有,「なんのために」
筆者は10歳のとき潰瘍性大腸炎になり,入退院を繰り返しながら3 年後に大腸を全摘出することになった。その3年の間に自分の身に起きたこと,患者として感じたこと(自分の心の動きや自分に向けられる医療者の視線など)が,現在の自分の仕事のベースにあることは間違いない。
梅田 恵
昭和大学大学院 保健医療学研究科
【キーワード】キャリア,専門看護師,緩和ケア
何の使命感や意義を感じることなく,なんとなく看護師になり,緩和ケアと出会い,気がつくとこの道で30 年のキャリアを重ねている。どうして緩和ケアや看護にこだわったキャリアを歩むことができたのか,今回,振り返る機会をいただけたことに深く感謝している。
川村 三希子
札幌市立大学 看護学部 成人看護学領域(がん看護)
【キーワード】キャリアデザイン,多様性,緩和ケア
私はキャリアデザインを描いてこなかった。それには,ある30歳代の終末期のがん患者さんとの出会いが影響している。少しだけそのことを紹介したい。その患者さんは余命がわずかであることを知りながら,病室で毎日,英語検定の勉強をしていた。「先がないのに,なぜ検定を? 何のために?」と思い,その理由をたずねた。患者さんは,「あのね。何かになることが大切じゃないんだ。何かになろうとする自分であるかどうか,が大切なんだよ」と教えてくれた。
柏木 秀行
飯塚病院 緩和ケア科/地域包括ケア推進本部
【キーワード】キャリアパス,緩和ケア,専門医
飯塚病院緩和ケア科の柏木秀行と申します。医師としてのキャリアは執筆時点で,ちょうど10年になろうとしている。現在は福岡にある飯塚病院の緩和ケア科で,緩和医療専門医として勤務している。
吉田 健史
近畿大学医学部附属病院がんセンター 緩和ケアセンター/腫瘍内科兼務
【キーワード】早期からの緩和ケア,腫瘍内科と緩和ケアの統合,Palliative Oncologist
筆者は,近畿大学医学部附属病院において腫瘍内科医として頭頸部がん・肺がん・消化器がん・乳がん・肉腫などの化学療法を担当すると同時に,緩和ケア外来・緩和ケアチーム・連携ホスピスにおいては身体緩和担当医師としても活動している。このような腫瘍内科医と緩和ケア医両方のコミュニティに参加し,両者の意見が聞ける立場から「腫瘍内科が緩和ケア専門家に期待すること」や「腫瘍内科と緩和ケアの望ましい連携のありかた」について述べていきたい。
草場鉄周
北海道家庭医療学センター
【キーワード】総合診療,医師・患者関係,連携
本稿では,総合診療医の立場から,総合診療とそのなかで行う緩和ケアの実際,そして,緩和ケア専門医との連携の内容と重要性を論じ,最後にサブスペシャルティとしての緩和ケアの位置づけの可能性についても考えていく。
森 雅紀
聖隷三方原病院 緩和ケアチーム
【キーワード】緩和ケア専門研修,米国,キャリアデザイン
緩和ケアの本分は苦痛の緩和である。年齢・疾患・病期・場所を問わず,患者・家族の多面的な苦痛の緩和に対応するには,非常に幅広い研修と研修後の継続的な自己研鑽が必要になる。国を問わず,緩和ケア医の背景,得意分野,使命感や職業上の目的,キャリアデザインへの意識は千差万別である。先達のキャリアパスを辿ることもあれば,暗中模索の過程が結果的に新たなキャリアパスの創造につながることもある。
本稿では,海外の緩和ケアのなかでも,専門科としての発展過程が比較的近い米国の緩和ケア医のキャリアパスに触れながら,日本の緩和ケアの研修の課題と展望について考えてみたい。
西 智弘
川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター
【キーワード】緩和ケアセミナー,満たされないニーズ,多様性
2016年にがん対策基本法が改正され,「がんと診断された時からの緩和ケア」が法律上明記された。
この法律に則り,がんの全病期にわたり質の高い緩和ケアを提供するためには,専門的緩和ケアを提供できる医療者の育成が急務となる。専門的緩和ケアとは,基本的緩和ケアの技術や知識に加え,多職種でチーム医療を行う適切なリーダーシップをもち,緩和困難な症状への対処や多職種の医療者に対する教育などを実践し,地域の病院やその他の医療機関などのコンサルテーションにも対応できることである。そのような専門的緩和ケアを担う人材育成のためには,系統立った質の高い教育・研修の充足とともにキャリアアップの機会の提供が不可欠である。
新幡 智子
慶應義塾大学 看護医療学部
【キーワード】緩和ケア,看護教育,コンピテンシー
緩和ケアは,近年,がんだけでなく,非がんも含めて広く必要とされるケアとして考えられている。超高齢化社会,多死社会を迎えた日本では,がんとともに認知症をもつ患者・家族や非がん疾患の患者・家族のエンド・オブ・ライフを支えていく機会もますます増えていくだろう。基本的緩和ケアは,がんに携わるすべての医療者が身につけるべき知識・技術とされているが,緩和ケア病棟や緩和ケアチーム,在宅で,専門的に緩和ケアを実践している看護師には,どのようなことが求められていくのだろうか。また,それに応えていくためにはさらにどのような力を磨いていく必要があるのだろうか。これらについて,これまでに取り組んだ研究や教育プログラムの体験をふまえて考えていきたい。
山本 亮
佐久総合病院佐久医療センター 緩和ケア内科
【キーワード】緩和医療専門医,新専門医制度,非がんの緩和ケア
日本緩和医療学会では,2010年より緩和医療専門医制度をスタートさせている。本稿では,現行の緩和医療専門医制度と,新専門医制度への対応状況について概説し,今後目指していくべき専門医像について私見を含めて述べてみたい。
The International Conference on Cancer Nursing(ICCN)は,全世界においてがんにまつわるさまざまな苦痛を軽減できる看護の影響力の最大化をミッションに設立されました。The International Society of Nurses in Cancer Care(ISNCC)によって1984年より毎年開催されている学会です。ICCNは,がん看護系学会のなかで最も長期にわたり継続的に開催されている学会であり,Palliative Nursing Leadership Courseは,アジア諸国で緩和ケアにたずさわる看護師を対象に,ICCNに先立って開催されました。
大学5年生の頃から,死に関連した医療に従事したいと考えましたが,救急に従事するほど体力はなく,緩和医療を学ぶ環境にはなかったため,移植外科に進みました。卒後すぐに結婚。もともと腎臓があまり良くなく,妊娠は早くと言われていたため,臨床研修修了後,長男を出産しました。産めばまわりの助けで何とかなるといった楽観的な考えは打ち破られ,重度の食物アレルギーのため保育園に預けることができず,ベビーシッターを探し,その費用分のバイトをしながら学位をとるための研究生活となりました。
放射線皮膚炎(以下,皮膚炎)は,「放射線の影響で,照射部の皮膚に炎症が生じた状態」です。急性期の症状は,紅斑や脱毛,乾燥や色素沈着,乾性落屑や湿性落屑,出血などがあります。掻痒感や灼熱感,疼痛を伴い,外見の変化が生じることからもQOLを低下させ,増悪すれば治療を休止する要因にもなるため,悪化予防のためのセルフケアがとても大切になります。
【今月のKey Article】
Haumann J, Geurts JW, van Kuijk SM et al:Methadone is superior to fentanyl in treating neuropathic pain in patients with head-andneck cancer. Eur J Cancer 65:121-129, 2016. doi:10.1016/j.ejca.2016.06.025.
今月は,神経障害性疼痛に対する異なるオピオイドの効果を経皮フェンタニルとメサドンで比較した比較試験の結果をみてみます。
● なによりもご遺族が語れて,安心して過ごせる場所づくりに努める。
●「 参加してよかった」と思っていただけるように,開催に向けてスタッフ間のコミュニケーションを密にする。
● 準備をして開催すること自体が医療者のグリーフケアになる。
● 在宅では点滴スタンドの代わりにハンガーやさまざまな形状のフックを用いることがある。
● 気切チューブ,胃瘻チューブ,褥瘡なども,その場にあるもので工夫ができる。
● 在宅医療は生活の場であり,生活の知恵を工夫することを楽しむ。
● 緩和ケアにおいて不眠・せん妄は介入するべき精神症状である。
● せん妄に対しては抗精神病薬が使用されるが,効果を十分に検証した研究は少ない。
●トラゾドンは効果・副作用の面において,これらの症状の緩和に有用な薬剤である。
● まず本当にオピオイド過量による緊急事態かを診断しよう。
● 重篤な「呼吸抑制」と「意識障害」を伴うときはナロキソンの使用を検討する。
● ナロキソン使用時は「退薬症状」による患者の苦痛にご注意を!
否認とは,「出来事は知覚しているが,不快な感情(不安・怒り)が生じることを避けるためにその存在を認めないこと」 とされており,がん患者の4~47%にみられる。