不眠・不穏時
アタラックスPⓇ(ヒドロキシジン)1A筋注・セレネースⓇ(ハロペリドール)1A・リスパダールⓇ(リスペリドン)1包
これらはせん妄では非常に曖昧な指示で,不都合なことが少なくない。頓用指示は,適切な状況で適切な薬剤が求められる一方で,使用の最終判断は看護師が行うため,特に入院時定型指示などの頓用指示は想定通りになるとは限らず,安全の担保が重要となる。これらを考えるうえでは,薬剤の特性の把握が欠かせない。
不眠・不穏時
アタラックスPⓇ(ヒドロキシジン)1A筋注・セレネースⓇ(ハロペリドール)1A・リスパダールⓇ(リスペリドン)1包
これらはせん妄では非常に曖昧な指示で,不都合なことが少なくない。頓用指示は,適切な状況で適切な薬剤が求められる一方で,使用の最終判断は看護師が行うため,特に入院時定型指示などの頓用指示は想定通りになるとは限らず,安全の担保が重要となる。これらを考えるうえでは,薬剤の特性の把握が欠かせない。
普段の臨床現場において,抗精神病薬はせん妄に対する治療として中心的な役割を担っているのが現状である。また,一部のガイドラインにおいても,せん妄の原因(直接因子)除去や補正可能な誘発因子の補正とともに,せん妄に対して抗精神病薬を使用することを推奨されている。しかしながら, 近年, 米国食品医薬品局(Food and Drug Administration;FDA)など海外の公的機関から高齢者や認知症患者に対する抗精神病薬投与に対する安全性に関する警告が発せられている。本稿では,抗精神病薬使用に伴う一般的な有害事象(副作用)ではなく,重篤な有害事象のリスクにフォーカスを当ててレビューする。
緩和ケアにおいて,せん妄は切っても切り離せない病態であり,患者本人,家族,医療者の皆が苦しむものである。そのようななか,せん妄に対する適切なマネージメントは,現場の苦しみを和らげるために重要である。せん妄は,まず原因を探り,その原因に対処する(脱水があれば補液する,感染症があれば,抗菌薬で治療する)ことが必要である。しかし,せん妄は,時に錯乱状態や幻覚妄想状態を惹起しうるため,対処療法も必要となる。そのような時に用いられるのが抗精神病薬である。抗精神病薬は時に敷居が高く感じられることもあるが,基本をおさえることで,使うコツがわかってくる。
先行研究では,看護師を対象にせん妄予防のガイドラインを使用した教育的介入をしたところ,根拠のあるせん妄予防ケアの積極的実践ができ,医師へのせん妄の可能性を進言する意識の向上などがみられている。さらに同研究では,せん妄予防ケアは教育的介入だけでなく,組織的な戦略が必要と報告されている。
がんに限らず,さまざまな疾患をもつ患者には,身体症状だけでなく,精神神経症状が時に出現する。せん妄は,その精神神経症状の1つである。軽度から中等度の意識混濁による注意障害や,睡眠覚醒リズムの障害(不眠や昼夜逆転),感情の変動,精神運動興奮,幻視や錯視などの知覚障害,妄想など,多彩な症状を呈する。せん妄は,入院患者の約30%で合併すると報告されており,周術期・終末期では発生頻度が特に高い。また,せん妄を発症した多くのケースはせん妄エピソードの想起が可能であり,このうちの81%は苦痛な経験であったと報告されている。
せん妄は軽度から中等度の意識混濁と意識変容を併せ持つ病態である。特に高齢者や入院患者に起こりやすく,治療薬によりせん妄が誘発されることもある。がん患者がせん妄を呈することはまれではなく,全身状態の悪化に伴いせん妄の出現頻度は増加する。しかし,病像が多彩で一般化されにくいことから,実際の臨床では見過ごされやすい。せん妄を呈するとその人らしい精神活動が障害され,患者のみならず看護師や家族も苦痛を感じやすいため,せん妄を早期に発見することは緩和ケアにおいて重要である。
本稿ではせん妄の際に出現する症状についてまとめ,症状評価と早期発見の方法について論じる。
せん妄は,急性に生じる注意障害を主体とした精神神経症状の総称である。せん妄は,がん患者において最も高頻度に認められる精神神経症状であり,治療の初期段階から終末期まで,あらゆる時期に出現する。せん妄には,注意障害を中心に,不眠や昼夜逆転などの睡眠覚醒リズムの障害,感情の変動,精神運動興奮,幻視や錯視などの知覚障害,妄想など多彩な症状が夜間を中心に出現し,数時間から数日のレベルで変動する。
とにかく行き当たりばったりの人間なので,なんとなく流れ流れてここまできました。京都大学法学部を卒業したあと,就職もせず,同大学教育学部の講義を無断聴講していましたら,ある先輩から声がかかり,大阪にあるその名も浪な にわ速少年院の法務教官として働くようになりました。
2年間働いたあと退職し,手伝いを頼まれてやってきた札幌のキリスト教会で奉仕していた時に,たまたまスイスの精神科医ポール・トゥルニエさんの本と出会い,「医者はつらい状況にある人の全人的な同伴者になれる職業である」と知らされ,医者になろうと決意しました。
日本で正看護師の免許取得後に,ハワイへ行き,現地で働きたいという意識はあまりないままハワイ州RNの資格を取得した。せっかく働けるのでならば興味のあるHIV領域での仕事をと思い,職に就いたのが始まりであった。HIV 予防教育プログラムで看護教育と,HIV 専門クリニックではクリニックナースとして,2つの職場で6年ほど働いた頃に,ハワイの看護プログラムでお世話になった恩師より,「カンボジアで看護指導をする気はないか?」との誘いを受け,“天からの声”が聞こえたかのように即座に了解してしまった。
【今月のKey Article】
Paulsen O, Klepstad P, Rosland JH, Aass N, Albert E, Fayers P, Kaasa S:Efficacy of methylprednisolone on pain, fatigue, and appetite loss in patients with advanced cancer using opioids;a randomized, placebocontrolled, double-blind trial. J Clin Oncol 32:3221-3228,2014
今回は,EAPC(European Association for Palliative Care)を率いるKaasa(この研究は実際にはKlepstand)のノルウェイで行われた比較試験をみてみます。
● リンパ浮腫患者は皮膚状態を整えることが第一である。
● 段階的に圧迫時間,着圧を上げていく。
● 熱感を伴う場合は安静時冷却を併用する。
● 患者の心情に配慮し,セルフケアをサポートする。
● ハロペリドール注は,1.5mg=0.3mLの投与が基本。
● 不眠・鎮静目的で,ハロペリドールを常用しない。
● よくある使用量は,数日以内の短期に限られることを再認識しよう。
● サロンを主催するスタッフが要である。
● サロン進行役は黒子に徹する。
● サロン利用者のニーズ把握が大切である。
頭痛の発現頻度の報告はさまざまであるが,半数以上という報告もあり,もっとも多い症状の1つである。本人にとって頭痛は非常に苦痛であり,早期から症状コントロールを行うことで,QOL(quality of life)を上げることが期待できる。頭痛は,播種した結節や蓄積した腫瘍により脳脊髄液の流れが遮られ,脳脊髄液の灌流障害が生じ,頭蓋内圧亢進をきたすことや,髄膜や脳血管などの痛覚感受性組織の炎症性刺激,偏位,牽引により起こる。
がん関連倦怠感(cancer-related fatigue;CRF)は,すべての病期を通してみられる。特に,死亡前1カ月以内の段階では,身体症状の中で最も頻度が高く,その程度も急速に増強する。
CRFは,病態生理学的に,サイトカインが関連する一次的倦怠感(primary fatigue)と,貧血や感染・薬剤などが関連する二次的倦怠感(secondary fatigue)に分類される2)。倦怠感の治療では,二次的倦怠感を見逃さず,まず改善可能な病態の治療を検討する。
病歴を丁寧に聴取し,下痢の原因に沿った初期治療を行うと同時に,水分電解質補給や環境面の整備を行うことを目標としたい。
原因の推察としては,「急性下痢」か,2週以上持続している「慢性下痢」か,分けて考える。
悪性潰瘍は,皮膚表面から突出した状態にある悪性腫瘍が,一部壊死・崩壊して潰瘍化し,悪臭・出血を伴うものと定義する。全がん患者の8%に悪性潰瘍が出現するといわれており,悪性潰瘍に伴う悪臭は,セルフイメージを損なうばかりではなく,においを気にすることで患者が社会的に孤立しやすくなるといわれている。
1988年,「胃がん」未告知のまま徹底した延命治療を受けて亡くなった父と,同じく,「肝細胞がん」という診断を病院ぐるみで隠し通し,未告知のまま吐血であっけなく亡くなった上司との関わりが,ホスピスケアとの出会いのきっかけでした。
当時神戸では,「死の臨床研究会」を立ち上げた河野博臣先生と神代尚芳先生が,地域密着型のホスピスを開設すべく,「完成期医療研究会」を立ち上げておられました。中学から大学にかけて,教会と日本キリスト者医科連盟でお世話になったこともあり,河野先生にご指導をいただきながらホスピスのことを学び始めました。
かゆみは,終末期の患者において,比較的まれな症状ではあるものの,発生すると難治性であることも多く,大きくQOLを低下させる症状の1つである。
かゆみは,皮膚に病変がある一次性のものと,全身疾患などに伴う二次性の原因に大別される。およそ7割の原因が一次性であるといわれているが,本稿では二次性のかゆみへの対応についておもに考えたい。
二次性のかゆみの原因としては,「尿毒症」「薬剤性(オピオイドなど)」「胆汁うっ滞」「糖尿病」「腫瘍随伴症状(悪性リンパ腫や多発性骨髄腫・乳がん・肺がんなど)」「HIV/AIDS(後天性免疫不全症候群)」「心因性」などが挙げられる。
薬物を用いた痛みの症状緩和は,WHO 方式がん疼痛治療法に沿い治療を行う。痛みの強さに応じて鎮痛薬を使用し,強い痛みにはオピオイドを選択する。オピオイドを開始する際には,悪心や便秘などの有害事象の予防を行う。神経障害性疼痛など,鎮痛薬で症状緩和が困難な場合は,鎮痛補助薬の使用を検討する。
リンパ液や血液還流の障害が原因の浮腫も,ステロイドが有効である。しかし,ステロイドが無効の顔面浮腫もあり,長期間の使用は有害事象のリスクが高いため,ステロイドの投与は慎重に検討する。