つながる力。看護ケアをひらいた92歳のチャレンジ
季羽倭文子 著
訪問看護、緩和ケア看護の道筋をひらいた看護師は、「人につながる力」を「人をつなげる力」に変え、「未知」を「道」にできる希望を抱かせてくれる。
1975年、イギリスでの研修を終えて日本大学板橋病院に訪問看護室を開設し、日本で初めての病院からの訪問看護を開始する。
1977年、「死の臨床研究会」が設立された。医療関係の団体で名称に“死”を取り入れたのは衝撃的で、研究会の世話人を務める。同じ年に『死の看護』の書名で翻訳し、イギリスの最新の看護ケアを紹介する。
1987年、「ホスピスケア研究会」を設立し、日本のホスピス緩和ケア看護の普及に尽力し、現在も継続している。
1991年、「病名・症状を伝える」を初号の特集として、医療専門誌・月刊『ターミナルケア』(現在、隔月刊『緩和ケア』が創刊される。初代・編集委員の一人として、出版分野からホスピス緩和ケア看護を啓蒙し、牽引する。
1977年以来、看護書、翻訳書、ビデオ教材など多数の専門書を著作する。2023年、92歳、初めてのエッセイ集に取り組み、「つながる力。」として結実する。
目次
1章 卒寿の息吹
・新たな一歩…6
・エッセイに挑戦…6
・眺めのよい部屋…9
・ピアノの嫁入り…11
・今日は富士山見える?…13
・ウイーン少年合唱団…16
・初めてのZoomイン…18
・90歳にばんざい ノーベル賞…22
・年をとると…24
・油断 若者とシニアの体力の違い…24
・階段転落事件 眠っていた古傷…26
・失ったもの 歯…29
・10日間の自宅隔離…31
・「若いですね」 MCI検査…33
・ICTとともに…37
・パソコンのトラブル…37
・パソコン詐欺におそわれた…39
・宅急便で笑いが届いた…41
・びっくり! バスも電車も縮んでいる…44
・「アレクサ、今日は何の日?」…46
2章 あの日あの時
・花のつながり…50
・花に宿る夫婦のきずな…50
・バラの変身…52
・近所との間 ボタン…54
・バスドライバーのプレゼント 桜並木…57
・メモリー…59
・コロナの運び屋? 姉に最期に会いに…59
・エメラルドの指輪…62
・秘めた姉の願い…64
・小学校の運動場…66
・父の魚釣りの腕前…69
・徳島大空襲焼け野原を生きのびて…71
・つながりに恵まれた…74
3章 伴侶に支えられて
・ともに生きた日々…78
・寂しさが癒された…78
・終の住みかを選びなおす…80
・夫の配慮 思い出の品…83
・太陽に感謝 元旦はチューリップ… 85
・トイレものがたり…87
・心のゆるみ 夫の誕生日に…89
・やさしさに癒されて 大変な1日…92
・「おせち」は間に合わなかった…94
・夫は自分で幕を引いた…96
・ひとりになって…100
・あたたかい贈り物 初雪の日に…100
・「嬢ちゃん婆ちゃん」流 母からの大島紬…102
・隠れグリーフ(悲嘆) 片付け…104
・心のカーテンを開けて…107
・初めての誕生日プレゼント…109
・「お連れ様の分もどうぞ」 飛行機にて…111
4章 道をひらく―訪問看護・ホスピスケア
・英国で学ぶ…116
・初めての海外研修旅行…116
・私の負け 内気な留学生…119
・ミスター・スミスのやさしさ 訪問看護実習…121
・訪問看護をはじめる…124
・大学病院からの試行…124
・訪問看護の効果が現れた…125
・「お母さんのお母さんになって」…127
・主治医への覚悟のメモ…129
・ホスピスケアに取り組む…132
・新しい医療 ホスピスとの出会い…132
・訳本『死の看護』 鎮痛用の赤ワイン…134
・新しい道へ 映子さんのこと…136
・サポートが降ってきた…140
・ホスピスケア研究会…143
・銀座二丁目の重い初仕事…146
・初めての在宅ホスピスケア…148
・「魔除けです」 仲直り…151
・夫を許せない罪悪感 相談の場…153
・「がんを知って歩む会」…156
・「あなただったのね」 シシリー・ソンダースを迎えて…159
・がん告知の変化…163
あとがき…167
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自宅ベランダから 夫が撮影した3月の多摩丘陵(表紙)
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夫と一緒に自宅花壇の前で(6P)
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自宅花壇の ピンクの薔薇 “なえま”(24P)
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自宅花壇の ブルーの花 “ネモフィラ”(36P)
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自宅花壇の 真っ赤な薔薇 “ダブルノックアウト”(50P)
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1月から2月まで咲き続ける アイスチューリップ(59P)
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オペラツアー時に、ミュンヘン バイエルン国立歌劇場の前で(78P)
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高齢者住宅のホールのグランドピアノの前で(103P)
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3月に咲く “アーリースマイル チューリップ”(116P)
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自宅花壇の “大輪の赤い牡丹の花”(124P)
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ロンドン郊外の 聖クリストファー ホスピス の玄関上の窓に設置された ”聖クリストファー の像“(132P) 【註】杖を突いた聖クリストファー が、キリストを背負い、川を渡ろうとしている姿
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1997年4月東京講演会の後で、ホスピスケア研究会のメンバーと記念撮影 前列右から3人目がソンダース先生、右端の男性がジェンキンスさん(ブリテイッシュカウンシル)(161P)