◆編集 仲間知穂・友利幸之介
学校教育の現場では、教員の業務負担増加が大きな問題となっている。その背景には、特別な支援を要する児童・生徒の増加、いじめや不登校、子どもの貧困など、さまざまな社会的背景が影響している。
こうした児童の支援には、外部専門家との連携が推奨されていて、その中に作業療法士の役割も挙げられている。通常の作業療法士としてのスキルに加えて、教育業界の理解や、教員や学校との連携など、さまざまな技術が要求される.学校作業療法は、社会的に普及が望まれており、対応の輪を広げることが大切となっている。
学校作業療法は、作業を通して子どもが自分の力をうまく発揮し、環境を活用ながら遂行できるようになることを目標とする。ここでは作業療法士が行うべき、学校の文化やシステムを把握し、必要な技術を用いてその目標に合わせた実践を解説している。そして、教員や保護者が生活の実現に向けて主体的に関われるための情報共有をはじめとするコンサルテーションについてまとめている。学校における作業療法士による評価や分析などの基礎を理解し、来るべき学校作業療法を学ぶテキストとなっている。
学校作業療法 実践ガイド
序文 仲間知穂
第Ⅰ章 学校教育に作業療法士が関わる意義
1 学校作業療法とは 酒井康年
2 学校や教員が抱える課題の複雑さとその対応の現状 本村 真
【Topic Ⅰ】 日本におけるインクルーシブ教育システム 野口晃菜
第Ⅱ章 学校作業療法に必要な技術
1 学校作業療法に必要な技術とは 仲間知穂
2 教員との作業療法面接 仲間知穂
【Topic Ⅱ】 ADOC-S 友利幸之介
3 子どもの作業遂行分析 酒井康年
【Topic Ⅲ】 スクールAMPS 塩津裕康
4 感覚統合に基づく作業遂行の評価と分析 高畑脩平
5 応用行動分析学 塩津裕康
【Topic Ⅳ】 CO-CP 塩津裕康
6 心理学に基づいたエンパワメント 高橋香代子
7 多職種連携における作業療法士の役割 酒井康年
8 保護者支援における作業療法士の役割 荻原エリ
9 小児期の作業療法に関するエビデンスを考える 松島佳苗
第Ⅲ章 学校作業療法の支援例
1 通所施設における学校生活支援-1 増子拓真・庄司 薫
2 通所施設における学校生活支援-2 奥津光佳
3 対人交流と学校作業療法 仲間知穂
4 登校不安と学校作業療法 仲間知穂
5 ひきこもりと訪問作業療法 真下いずみ
6 特別支援学校の事例 山口清明
7 未就学時期の支援 高畑脩平
8 特別支援学校での支援 本間嗣崇
9 就労支援との連携 増子拓真・大澤淳一
10 京都府士会特別支援教育OT チームの取り組み 加藤寿宏
11 大阪府士会特別支援OT チームの取り組み 尾藤祥子
12 まちのOTとしての学校作業療法 仲間知穂
13 まちづくりの視点から考える作業療法 山口清明
一言Essay 目良幸子
作業療法のある風景 シリーズ[2]
第1回 錯乱円 知花さくら