★★精神科作業療法の実践理論を、治療構造論に基づいて解説した初の手引書★★
〔著者〕
中山広宣(九州保健福祉大学保健科学部作業療法学科特任教授)
【本書の内容】
精神科作業療法は、治療契約・作業療法室・作業活動・患者と治療者関係という4重の治療構造で構成されている。「構造」は可視化できるため、治療の道筋と治療者の役割が明確になり、客観的にも理解されやすい。同時に、治療構造という「枠」を守ること自体が患者の心を保護することにもつながる。
本書は、治療構造という視点から、精神科作業療法の治療特性・作業活動の治療的意義・デイケアにおける作業療法の意義・治療者の対処技法・精神医療のあり方などについて、事例をまじえて具体的に解説している。精神科作業療法の本質を再考させる内容である。臨床における迷いに道筋を示し、患者への理解を深め、患者とともに歩むべき方向性が見えてくる必携の実践書である。
目次
まえがき
第1章 作業療法を振り返る
1.作業療法の意義
2.作業活動の治療的意義
第2章 精神科作業療法の治療構造
1.精神療法の2重の治療構造
2.精神科作業療法の4重の治療構造
〈治療構造1〉治療契約という外面的治療構造
1)治療契約の治療的要素
2)治療期間・頻度・時間の治療的要素
〈治療構造2〉作業療法室という外面的治療構造
1)作業療法室の治療的要素
2)作業療法室は自由にして保護された現実の社会的空間
3)作業療法室の集団力動がもつ治療的要素
〈治療構造3〉作業活動という治療構造
1)作業活動は治療構造を操作できる
2)作業活動自体の治療的意義
3)作業活動の構造化(段階づけ適用)
4)治療的名称による作業活動の構造化
5)作業活動の週間プログラムの弊害
〈治療構造4〉内面的治療構造
1)患者と治療者の心理的関係
2)作業活動を媒介とした非言語的交流
3)治療者自身の治療的活用
3.作業療法における導入時面接と評価
1)導入時面接の方法
2)評 価
3)評価における注意事項
4.作業療法における治療の構造化(治療計画)
1)時間の構造化
2)空間の構造化
3)作業活動の構造化
4)人(対人関係)の構造化
5.まとめと指針
第3章 作業療法とデイケア
1.外来クラブ
2.外来作業療法
3.デイケア
1)デイケアの役割
2)デイケアの治療構造(作業活動とデイケアプログラム)
3)デイケアプログラムの進行
4)デイケアの治療的意義
5)地域におけるデイケアの位置づけ
6)デイケアの構造化
7)まとめと指針
第4章 閉鎖医療と開放医療の治療構造の比較
1.放任医療,閉鎖医療,開放医療の治療構造の比較
1)放任医療―主体性を尊重するという名のもとの放任主義
2)閉鎖医療―治療という名のもとの管理主義
3)開放医療―自由と責任と活動を柱にした治療共同体
2.作業療法室の治療環境―作業療法士の治療的自我に影響される
第5章 精神科作業療法に関連する各種療法の治療構造と応用
1.精神分析療法
1)局所論
2)構造論
3)経済論
4)力動論