痛みや呼吸困難,悪心のような代表的な症状には,教科書に詳細な記述があり、ガイドラインがあり,出版されているマニュアルにもとりあげられておおむね行うべき治療が決まっています。しかし,しゃっくりがとまらない,耳がつまった感じがする、頭頸部がんやがん性髄膜炎のすっきりしない痛みや不快感,全身がかゆくてしかたない…などのガイドラインなどはっきりした記述のない症状,遭遇する頻度は比較的少ないが難渋することが多い症状について,「どこまでやっていれば合格か」を専門家の立場から明らかにしようと思います。すっきりしないつらい症状に対する理解を深める一助となり,患者さんのQOLの維持・向上につながれば幸いです。
目次
第Ⅰ章 すっきりしない症状
Ⅰ-1 頭頸部がん患者の痛み・頸部圧迫感・顔面の浮腫 田上恵太/桑原芳子
Ⅰ-2 腕神経叢浸潤による神経障害性疼痛 波多野貴彦
Ⅰ-3 脊髄横断症状の起こり始めの急速な痛み 櫻井宏樹
Ⅰ-4 厄介な直腸テネスムス 野里洵子/福田かおり/森田達也
Ⅰ-5 がん性髄膜炎の頭痛 大西佳子
Ⅰ-6 手足がしびれる─CIPN 平山泰生
Ⅰ-7 こむらがえり 松本弥一郎
Ⅰ-8 オピオイド使用後にせん妄を生じやすい高齢がん患者への対応 五十嵐江美/田上恵太
Ⅰ-9 オピオイドのレスキューが10~20回から減らない 馬場美華
第Ⅱ章 すっきりしない呼吸器症状
Ⅱ-1 少量の喀痰を伴う咳─痰が出しにくい 高木雄亮
Ⅱ-2 大量の喀痰が減らない 菅野康二
Ⅱ-3 オピオイドを増やして少し楽になったけどまだ苦しい安静時呼吸困難 長谷川貴昭
Ⅱ-4 パニック(不安発作)と同時にくる息苦しさ 松田能宣
Ⅱ-5 労作時だけに生じる息苦しさ 合屋 将
Ⅱ-6 大きな呻吟とびっくりする無呼吸 江川亜希/山口 崇
第Ⅲ章 すっきりしない消化器症状・口腔症状
Ⅲ-1 止まらないしゃっくり 松田洋祐/伊藤祐子
Ⅲ-2 おさまらない下痢 清水啓二/柿元奈緒子
Ⅲ-3 繰り返す下痢と便秘 白井直美
Ⅲ-4 消化管閉塞で急におそってくる蠕動痛と嘔吐 川島夏希
Ⅲ-5 腹水を抜いても残る張り感 田中佑加子/山口 崇
Ⅲ-6 化学療法・放射線療法中の口腔内の痛み 長岡広香
Ⅲ-7 味覚障害─味がしない・味がおかしい 渡辺啓太郎
Ⅲ-8 オランザピンを処方したいけど耐糖能異常があるかもしれない時 岡本禎晃
Ⅲ-9 止まらない下血・吐血 岡 梨津子/岩倉俊子
Ⅲ-10 口が乾く 雨宮輝美/矢野和美
第Ⅳ章 すっきりしない全身症状・精神症状
Ⅳ-1 終末期の倦怠感 松尾直樹
Ⅳ-2 耳閉感─耳がつまった感じがとれない 竹田雄馬/石木寛人
Ⅳ-3 昼間にうとうとするので夜にぐっすり眠れない 大谷弘行
Ⅳ-4 パーキンソニズムのある患者のせん妄 井上真一郎
Ⅳ-5 せん妄に合併したようにみえるアカシジア 上村恵一
Ⅳ-6 これ,セロトニン症候群? 平山沙織/山口 崇
Ⅳ-7 まさか悪性症候群?ードパミン受容体遮断薬の投与後,急なCPKの上昇と発熱に遭遇したら 佐伯吉規
第Ⅴ章 たまに出会うすっきりしない症状
Ⅴ-1 原因のはっきりしない全身性のかゆみ 武見綾子/西 智弘
Ⅴ-2 発汗・多汗 金石圭祐
Ⅴ-3 悪性潰瘍のにおい 茅根義和
Ⅴ-4 ミオクローヌス 西島 薫
Ⅴ-5 とまらない痙攣 山川 宣
Ⅴ-6 体表にある腫瘍からのなかなか止まらない出血 茅根義和
Ⅴ-7 四肢の静脈性浮腫 井沢知子
Ⅴ-8 死亡直前期の口臭と流涎 高野純子