藤腹 明子 著
“かけがえのない人に寄り添う”とは、どういうことなのか――看取りを含めた介護について、実体験をもとに、看護教育のプロであり、宗教家でもある著者が思いを綴る。
十年以上に及ぶ母の在宅介護を通して感じ、考え、迷い、悩んだ日々。さらに介護を通して得られる喜び、感謝などに言及して、大切な家族を見送る過程を深く見つめる。かけがえのない人に寄り添う大切な時間であるはずの“介護”が、つらいだけのものに帰結せず、本人が先に歩み出すための13カ条である。
ここでは家族介護の真っただ中で奮闘している人のため、いつか介護を実践することになるかもしれない人のため、そしていずれ介護される立場になるかもしれない人のために介護の本質がまとめられている。また、実感したこと、考えたこと、良かったこと、困ったこと、反省させられたことなどが、母へ介護とともに語られる。
多くの人は、家族を介護し、いつかの日か介護される立場になる。その日のために将来を十分考えておくことは、大切である。 仏教看護の礎を築いた著者が、自身の体験から介護の“カナメ”を提唱した本書は、介護について考えるすべての人におくる希望の「心得と作法」でもある。
CONTENTS
第1章 介護に仏教の教えを取り入れたわけ
家族介護の心得と作法について
家族介護」の心得と作法に仏教の教えを取り入れた理由
「宗教」に対するこんなこと、あんなこと
第2章 家族介護の心得と作法 13 カ条
第1条 介護についての基本的知識、会得しておくこと大事なり
第2条 介護の基はセーバー、ウパスターナ、共語にあり
第3条 介護は布施行そのものなり
第4条 介護する者、される立場になり得るなり
第5条 介護の期間は人によりて長短あり
第6条 介護の先には看取りあり、看取りの先には葬送あり
第7条 介護はこの世からあの世への橋渡しにつながるなり
第8条 介護される人の思い、望みを第一に介護すること大事なり
第9条 介護は「いのち」の学び、「人生」の修行なり
第10条 介護する者、介護疲れに陥らぬための工夫が大事なり
第11条 介護の在りようを左右するは、死生観なり
第12条 介護を通じて、真の「終活」学ぶなり
第13条 認知症はいのちの自然、神仏の配慮なり
あとがき