特集 抗がん剤がいつまでもできるときの緩和ケア
早期からの緩和ケアが提唱されてこのかた、腫瘍内科と緩和ケアの統合は欧米のガイドラインでも積極的に推奨され、各国が試行錯誤を続けている。
一方でわが国においては、いまだ「化学療法が終了してからの緩和ケア」が広く行われ、緩和ケアの提供体制はいまだ不十分である。日本において、腫瘍内科と緩和ケアの統合が進まない要因のひとつとして、化学療法の進歩と緩和ケアの提供体制のアンマッチ、そして患者・家族の希望と緩和ケアがかみ合っていない現状がある。
この「抗がん剤がいつまでもできる時代」に、緩和ケアの専門家が直面する問題とは何か。どのようなタイミングでどのように患者にかかわっていくべきか考察する。
特集 抗がん剤がいつまでも
できるときの緩和ケア
特集にあたって 西智弘・高橋美賀子
Overview
抗がん剤がいつまでもできる時代における緩和ケア 西智弘
Point of view
腫瘍内科医からみた緩和ケアとの協働 勝俣範之
緩和ケアに従事する医療者が知っておくべき支持療法 全田貞幹
体調が悪化しても化学療法が継続されるときの
緩和ケアチームの役割 大友陽子
在宅専門医の役割と葛藤 河原正典
訪問看護の役割 濱本千春
緩和ケア病棟の役割と葛藤 市川智里
一般病院が提供する緩和ケアの役割と葛藤─療養病床で地域に質の高い緩和ケアを提供するための挑戦 藤木啓
Column
緩和ケア科の仕事は主治医なのか専門的な緩和ケアの提供なのか? 森田達也
家族が来ない患者に対する意思決定支援 細田志衣
緩和ケア科=BSCなのか 大坂巌
連載
FAST FACT 35
パニック発作・パニック症 松田能宣
落としてはいけないKeyArticle 34
脈拍を指標に治療方針を決める?
―実臨床の体験を呼吸困難の研究に結び付ける 森田達也/森一郎
緩和ケア口伝─現場で広がるコツと御法度33
フェンタニルによる依存をブプレノルフィンで離脱させる方法 岡本明子
えびでんす・あれんじ・な~しんぐ(EAN)─実践力を上げる工夫 22
倦怠感の緩和─終末期がん患者へのハンドケア 細川舞
ホスピス緩和ケアの日々15
心にひっかかったままの患者さん『気道閉塞』後編 相河明規
仕事人の楽屋裏 34
渡邉眞理