“痛み+せん妄”を何とかする!
◆企画担当
森 雅紀(聖隷三方原病院 緩和ケアチーム)
柏木 夕香(新潟県立がんセンター新潟病院)
痛みのあるがん患者にせん妄が起こりそうなとき,あるいは起こったときに,どのように対処すればよいのだろうか。緩和ケアの臨床現場ではよく遭遇する,悩ましい問題である。
本特集では,次の3つの状況を想定した。① 難治性疼痛の治療において,薬物療法で行ったときにせん妄になりそう,なる直前,このままいったらせん妄になりそうなとき(せん妄にならないようにすることが目的)。② 可逆性かどうかもわからないせん妄を呈した患者が「痛い」と訴えるものの,本当に痛いのかどうか決め手を欠く状況のとき(鎮痛薬を増やすのか,鎮痛薬は増やさないで向精神薬を調整するか,環境に配慮するかを決めないといけないとき)。③ 終末期患者(死亡が数週間にせまっている患者が痛みとせん妄を呈したとき)。
まず疼痛とせん妄が問題になるときの考え方を概説し,そのうえで,明確なエビデンスがないなかでどのような工夫をしているか,さまざまな実践を紹介する。痛みとせん妄が問題になる目の前の患者に対するベストなケアは何かを臨床判断するヒントが本特集にある。
“痛み+せん妄”を何とかする!
特集にあたって 森 雅紀/柏木夕香
痛み+せん妄への考え方と方法
「痛み+せん妄」の緩和治療─基本的な考え方 森田達也
《注目のトピックス》せん妄と痛み1 せん妄の患者は痛みを「苦しい」と感じているのか 井上真一郎
難しい痛みは,いわば“痛みとせん妄のシーソーゲーム” 田上恵太
痛みの治療を見直すことから始める 馬場美華
痛みの再評価と鎮痛方法の見直しを 石川亜佐子/石井博修/小杉寿文
痛み+せん妄ペインクリニシャンの観点から 山代亜紀子
オピオイドの調整に腐心して 小杉和博/松本禎久
《注目のトピックス》せん妄と痛み2 痛み+せん妄のときに認知機能障害患者用の 痛みの評価ツールは,本当に使えるのか 八木佑加子/山口 崇
痛み+せん妄のあるときのケアの工夫
夜間に患者が「痛い」と訴える場合のケア 塩澤 綾
治療ゴールをどうするか 大友陽子/三澤貴代美
せん妄の「なりかけを」をどうキャッチするか 宮田優子
特別企画
『緩和ケア』誌30巻を迎えて 3〈最終回〉
『緩和ケア』誌発刊30年によせて 木澤義之
連載
FAST FACT 33
心不全患者の予後 大森崇史
緩和ケア口伝─現場で広がるコツと御法度200114
VRを活用した新たな緩和ケアの手法 仁木一順
えびでんす・あれんじ・な~しんぐ(EAN)─実践力を上げる工夫
がん関連疲労─継続的な評価の重要性 佐藤大介
ホスピス緩和ケアの日々 12
ケアタウンでの看取り 相河明規
仕事人の舞台裏 31
小笠原利枝
落としてはいけないKey Article 33
終末期の苦痛緩和と意識の維持の最適化を
どう評価すればいいか?を考える 森田達也/森 雅紀
のぞいてみよう!国際学会最前線 23
第13回アジア太平洋ホスピス大会(APHC2019)への
参加を通して 升川研人