対話―傾聴を超えて
患者や家族の価値観や考えについて知るためには,話を聴くだけでは十分でなく,非言語的コミュニケーションも総動員して,確かに話を聴いてもらっているという手ごたえをもてるように応答し,共に探求する「対話」が注目されている。 本特集では,対話とは何かについて,緩和ケアの臨床場面で傾聴に限界を感じるときの対応について,対話で必要とされる態度やスキルについて,対話を中心においた市民活動について紹介する。
目次
特集:対話―傾聴を超えて
特集にあたって 田村恵子/西 智弘 452
「対話」とは何か
1 「哲学対話」の作法─医療現場に「哲学対話」を挿し込む 西村高宏
2 〈聴きあう〉〈ともに考える〉こととしての対話─傾聴や意思決定支援の根底にあるもの 高橋 綾
3 High-context cultureにおける「察する」とは何か―聴覚・視覚障害者のコミュニケーションに学ぶ対話の本質,援助的対話の可能性,「逆傾聴」の提案 佐藤泰子
「対話」と緩和ケアー事例
1 緩和ケアにおける対話を拓く 田村恵子
《医療現場で「傾聴」に限界を感じる時》
2 聴傾が効力を発する患者のタイプ 勝俣範之
3 共有型意思決定 坂下明大
4 緩和ケア医からみた傾聴を超える対話 内藤明美
《在宅の看護ケアの場面で「傾聴」に限界を感じる時》
5 傾聴までの環境づくりも大切に 田代真理
6 看護ケアの場面で「聴くこと」に限界を感じるとき 武田ヒサ
7 一人称の世界を理解するための対話の実際 福地智巴
「対話」を支える態度・スキル
1 患者が「わかってもらえた」と実感できるために 松原貴子
2 対話とネガティブ・ケイパビリティ 西 智弘
3 関係性を編み直す対話のつくり方 塩瀬隆之
「対話」を中心においた市民活動
1 市民と医療者の対話活動―みんくるカフェとまちけんダイアローグ 孫 大輔
2 がんと共に生きる知恵を育む場での対話─「ともいき京都」の試み 市原香織/近藤めぐみ
3 もしバナマイスタープログラム 蔵本浩一/大川 薫/原澤慶太郎/堤 俊太
4 じっくり聴くーウェル・リビングを考える会 藤本啓子
連載
FAST FACT (47)
グレリンとアナモレリン 森 直次
落としてはいけないKey Article (45)
食欲低下にステロイドは効かないのか ―ランダム化試験でまたしてもプラセボと差なし?! 羽多野 裕/森田達也
えびでんす・あれんじ・な~しんぐ(EAN)ー実践力を上げる工夫 (33)
希死念慮─生きたいと死にたいという気持ちの狭間で 松村優子
ホスピス緩和ケアの日々 (27)
孫!~ひ孫!~玄孫!!?“いのちの”大きな流れ 相河明規
仕事人の楽屋裏 (45)
天野晃滋
Topicアラカルト
国際化する日本の緩和ケア─マギーズの現場から 栗原幸江