“まち”で広がる緩和ケア―コンパッション・シティって何?
現行の緩和ケアシステムは,地域における苦痛の多くを見落としてしまっている。そういった課題に対し,生老病死の問題を地域住民の手に取り戻す運動を展開してきたアラン・ケレハーらの「コンパッション都市」の考え方から,私たちが学ぶべきことは大きい。
がんなどの病をかかえ,社会の周縁に追いやられがちな孤立する個々人を支え,地域全体で生老病死と喪失をケアし合うコミュニティを形成していくためには,どのような実践が私たちに求められるのか。その基本的な理論と,国内における先進的な事例から「“まち”で広がる緩和ケア」を国内に広める一歩としたい。
【目次】
特集:“まち”で広がる緩和ケア―コンパッション・シティって何?
特集にあたって 西 智弘 292
Outline
1.緩和ケアの歴史と社会の流れ 西 智弘 293
2.コンパッション都市の基本的な考え方―『コンパッション都市』を読む 竹之内裕文 299
Ditail
1.ともに暮らし,ともに生きる 三枝春香 308
2.地域おける“つながり ”による緩和ケア―厚生労働省モデル事業「社会的処方」の実践からの気づき 柴垣維乃 312
3.“農民とともに ”―佐久総合病院とコンパッション都市 由井和也 320
4.グリーフを支えるコミュニティ 福島沙紀 328
5.死に関わる専門家に伝えたいこと 金子稚子 335
Column
台湾―コンパッション社会を緩和ケアのthird stepに 森田達也 342
連載
落としてはいけないKey Article (54)
苦痛緩和のための鎮静―東アジアの国で使い方は異なる? 前田紗耶架,森田達也 348
FAST FACT (57)
メサドン 早瀬朋美 355
えびでんす・あれんじ・な~しんぐ(EAN)―実践力を上げる工夫 (42)
痛み日記を活用した疼痛マネジメント 森川みはる 356
仕事人の楽屋裏 (55)
關本翌子 358
ホスピス緩和ケアの日々 (37)
心にひっかかったままの患者さんその2「がん告知」 相河明規 360
Topicアラカルト
King’s College London MS in Palliative Careにオンラインで在籍し学んだ Compassionate Communityについて 松本衣里 362
書評
『リンパ浮腫とわたし─苦悩の日々から今を生きる』
リンパ浮腫の患者さんを支える医療者へ―メッセージが伏流水のように 中島恵美子 367
Book Selection 347
Information 307,327,346
次号予告 368