緩和ケア病棟はどこに向かうのか?
◆企画担当
西 智弘(川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター)
矢野 和美(国際医療福祉大学 看護学分野)
緩和ケア病棟入院料が「1」と「2」に分かれ、より急性化し、在宅復帰支援が求められている。「緩和ケア病棟はあくまでも『病院』であり、長期的に入院するのにふさわしい場所ではない」「より多くの人に緩和ケア病棟を利用してもらうため、回転率を上げることは必要である」という意見もある一方で、「ここで最期を迎えたいと思って来る患者に、追い出されるのではないかと不要な不安を与えている」「緩和ケア病棟で働くことの意義が感じられない、もう辞めたい」などといった声もあがっている。
このような状況の中で、「緩和ケア病棟入院料1」を選択した施設は、どんな工夫をしているのか、また「入院料2」でよいと決定したところは、院内でどのような意思決定を行ったのか、そしてこれからの緩和ケアが向かうべき方向とは?
今回の特集を通じて考えていきたい。
目 次
〔特集〕
緩和ケア病棟はどこに向かうのか?
特集にあたって 西 智弘/矢野和美
緩和ケア病棟の今
緩和ケア病棟入院料とその選択 西 智弘
入院区分が導入されたことによる看護師の苦悩とそれへの対応 田村恵子
それぞれの立場から
制度ができる前から携わっていて思うこと 前野 宏
在宅緩和ケア医の立場から―地域における変化 清水政克
治療医から見えていること 宮本信吾
変えた─「緩和ケア病棟入院1」を選択するための工夫
より多くの患者が緩和ケアを受けられるように─永寿総合病院 廣橋 猛/安藤恵子
地域から求められる役割に添う─三菱京都病院 吉岡 亮/大津裕佳
自宅と病院を行き来しながら過ごせるように─市立岸和田市民病院 高見陽子/川島正裕/山田由起子
「患者・家族を支える」をモットーに─甲南医療センター 山口 崇/野口ひさみ
変えない─「緩和ケア病棟入院1」を選択することが本当にいいことか
制度に関係なく求められることをやる─聖隷三方原病院 森田達也/今井堅吾/井上 聰
ホスピスマインドに基づいたチーム医療の提供を─洞爺温泉病院 中谷玲二
ホスピスマインドは変えられない─宝塚市立病院 吉川善人
横断的な取組みをしている緩和ケアチーム─亀田総合病院 関根龍一
緩和ケアチームとしての役割の変化や葛藤,今後の展望─飯塚病院 宮崎万友子/柏木秀行
特別寄稿
フランスにおける「持続的深い鎮静」の新しい展開 奥田七峰子/森田達也
特別企画 『緩和ケア』誌 30 巻を迎えて
第1回 『緩和ケア』誌特集一覧・(1991年~2004年)
「緩和ケア」誌発刊30年によせて 森田達也
連載 FAST FACT 31
進行がん患者に対する高カロリー輸液 天野晃滋
落としてはいけないKey Article 31
神経障害性疼痛にデュロキセチンは有効か─国内の多施設臨床試験の先駆け 森田達也/松岡弘道
ホスピス緩和ケアの日々
ボクの第43回日本死の臨床研究会年次大会参加記in神戸 相河明規
えびでんす・あれんじ・な~しんぐ(EAN)─実践力を上げる工夫
がん疼痛─通院患者のセルフマネジメントを促進する看護ケア 山中政子
のぞいてみよう!国際学会最前線 20
The 20th World Congress of Psycho-Oncology (第20回国際サイコオンコロジー学会)に参加して 藤森麻衣子
緩和ケア口伝─現場で広がるコツと御法度 31
◯死前喘鳴への吸引の前に考える「益と害」 谷口明子/渡邊紘