心理士は緩和ケアの何を担うのか―看護との接点
◆企画担当
森田達也(聖隷三方原病院 緩和支持治療科)
高橋美賀子(聖路加国際病院オンコロジーセンター)
緩和ケアにおいては、心理的サポートは重要な柱であるが、心理士の国家資格は途に就いたばかりである。緩和ケアに携わる医師や看護師の中には、心理士が臨床で何を担っているのか十分なコンセンサスがあるといえない。
そこで本特集では、心理士の行っている仕事を緩和ケアの視点で捉えてみる。そのスキルや介入・ケアの概要および特徴を振り返り、チームとして活動する際の要点を示す。看護師の立場からは、心理士と協働して行うサポートの実際を述べていただく。協働するうえで大切なことのひとつに精神科医との違いを認識し、支援の質を高めることが挙げられる。
具体的には、がんセンター、拠点病院、クリニック、大学病院などさまざまな場での心理士の活動を紹介する。緩和ケアチームやピアサポートグループでの心理士の重要な働きを垣間見て、緩和ケアの医療従事者が日々の臨床・ケアに活かすことを目的としている。
心理士は緩和ケアの何を担うのか
─看護との接点 特集にあたって 森田達也/高橋美賀子
緩和ケアにおける心理士の役割
心理士はこんな仕事─心理士が医師・看護師に知ってほしいこと 平井啓
心理士に期待すること─心理士に依頼したとしても(する前に)看護師がすること 北川善子
精神科医と心理士の違い 小川朝生
緩和ケアにおける心理士の仕事 ─これからと今後をみて 栗原幸江
知っておきたいトピックス
死にゆく親を見送る子どものケア 久野美智子
緩和ケアでも役に立つ心理検査 今留あかね
各施設における心理士の活動
人を‘がんという点’ではなく生活者として理解する─九州がんセンターの例 白石恵子
連携以前に必要な‘信頼’─堂園メディカルハウスの例 樋高知子
グループ療法を活用して─市立豊中病院の例 松向寺真彩子
がん相談と緩和ケアチームでの流動的な支援 ─神戸大学医学部附属病院の例 酒見惇子
心理士の行うこころのケア─川崎市立井田病院の例 福島沙紀
特別企画
『緩和ケア』誌30巻を迎えて2
『緩和ケア』誌特集一覧2(2005年~2019年) 144
『緩和ケア』誌発刊30年によせて 田村恵子 146
連載
FAST FACT 32
子どもの痛みの評価 余谷暢之
落としてはいけないKey Article 32
Chronic breathlessness syndrome(慢性呼吸困難症候群)に 対するあれやこれやの薬物療法試験 森田達也/三輪 聖
ホスピス緩和ケアの日々 11
ほんとに痛いの?!緩和ケアチーム物語 episode1. 相河明規
仕事人の舞台裏 30
中村めぐみ
のぞいてみよう!国際学会最前線21
世界標準のAdvance care planningを求めて 浜野淳
のぞいてみよう!国際学会最前線22
思い立ったが吉日─「なし行かんのかちゃ(どうして行かないのでしょう,いや行くべきですよ)EAPC」 大森崇史