本書は、緩和ケアにおける必須の基礎知識をおさえ、事例の多用、ベットサイドメモやワンポイントメモなどにより一般臨床でも役立つ内容となっている。また、それぞれの章をSTEP1~3に分け、段階をおって学べ、各章で共通事例を用いて一環して理解ができる構成になっている。医学生のテキストとして、また研修医や一般臨床医が緩和ケアの趣旨を実践するうえで、有用な事項を平易に解説している。さらにグループディスカッションやロールプレイの方法を具体的に述べるなど、他には類をみないチームで使えるテキスト。
第1章 緩和ケア総論
STEP1 緩和ケアとは
A.緩和ケアの定義
B.緩和ケア、ホスピスケア、ターミナルケアという言葉
STEP2 緩和ケアの現状と展望
A.緩和ケアの歴史
B.わが国の緩和ケアの現状
C.わが国の大学病院の現状
D.わが国における緩和ケアの展望
第2章 全人的ケア
STEP1 全人的ケアの定義を理解する
STEP2 事例を通して全人的ケアを考える
A.痛みの4つの要素
B.全人的ケアの対応
STEP3 グループディスカッション「全人的な痛み」
第3章 痛みのマネジメント
STEP1 痛みのマネジメントの基本
A.がんの痛みの理解とアセスメント
B.WHOの推進する鎮痛薬投与の基本5原則と除痛ラダー
C.モルヒネは恐くない
D.モルヒネの副作用対策
STEP2 痛みのマネジメントの実際
A.痛みの増強因子と緩和因子
B.痛みのアセスメントの実際
C.病態からみたがんの痛みのアセスメント
D.投与経路の選択と投与方法
E.薬剤の選択
F.モルヒネの使用方法
G.モルヒネの副作用対策
H.オピオイドローテーションと薬剤の選択
I.モルヒネが効きにくい痛みへの対応
STEP3 事例を通して考える
A.全人的な痛みの理解
B.痛みのアセスメント
C.薬剤の選択
第4章 その他の症状マネジメント
STEP1 症状マネジメントの基本
STEP2 症状マネジメントの実際
A.呼吸器系
B.消化器系
C.腎尿路系
D.骨転移
E.抑うつ、せん妄
F.その他の症状
第5章 インフォームド・コンセント
STEP1 インフォームド・コンセントの理解、バッドニュースの伝え方
A.インフォームド・コンセントの現状
B.インフォームド・コンセントの理解
C.バッドニュースの伝え方
STEP2 患者・家族の精神的・社会的側面の理解と対応
STEP3 事例を通して考える
第6章 チーム医療
STEP1 チーム医療の必要性とその構成
A.チームの必要性
B.チームの構成(メンバー)
STEP2 チームを効率よく機能させるために
STEP3 チームにおける各職種の役割
A.医 師
B.看護師
C.訪問看護師
D.薬剤師
E.リハビリテーション専門職
F.医療ソーシャルワーカー(MSW)
G.管理栄養士
H.アロマセラピスト
第7章 生命倫理
STEP1 生命倫理について知る
A.DNRの定義
B.セデーションの定義
C.尊厳死の定義
D.安楽死の定義
STEP2 生命倫理について考える
A.DNRの実際と問題点
B.セデーションの問題点
C.尊厳死の歴史
D.安楽死と尊厳死のちがい
【実践抗議】
実践抗議1 自分の死、家族の死について考える、死を通して生の意味を考える
実践抗議2 愛する人への手紙
実践抗議3 ロールプレイで行う緩和ケア講義、「バッドニュースの伝え方」
A.テキストを用いた講義の進め方
B.バッドニュースを伝える方法と緩和ケア
実践抗議4 スモールグループで行うロールプレイ
A.実施法
B.ロールプレイの進め方
実践抗議5 K-J法を用いたスモールグループ・ミーティング
A.準 備
B.方 法
C.進 行
【付 録】
付録1 薬剤の表
A.各種薬剤の表
B.フェンタニル貼付剤(デュロテップ(R)パッチ)
付録2 チームにおける各職種の役割の重要性を事例を通して知る
A.看護師
B.訪問看護師
C.薬剤師
D.リハビリテーション専門職
E.医療ソーシャルワーカー(MSW)
F.管理栄養士
G.アロマセラピスト
付録3 医師国家試験に向けて
A.問 題
B.解答・解説
索引
ベッドサイドメモ
患者との距離/「早く死なせてくれ」スピリチュアルケアの1例/痛みは患者の主観として捉える/偽薬(プラセボ)は使わない/看護師の意見を聞こう/モルヒネの誤解/輸液について考える/緩和ケアにおけるステロイドの適応/ベッドサイドでできること/「先生、あとどのくらい生きられますか」と問われたら/緩和ケア病棟で行っている看取り/臨終時の患者との関わり/看取りに際して知っておくこと
ワンポイントメモ
オピオイドと麻薬/告知という言葉について/ヘルシンキ宣言/「ムンテラ」は死語にしよう/望ましいチーム医療の形/医療者の守秘義務とは