こどもたちは初め、動かない父親の体に恐る恐るさわっていました。そのうち、横に寝ころんだり、首を持ち上げて千羽鶴をかけたりしました。ついには、おなかの上に馬乗りになって…。元気なころは、こどもを抱き上げ、体を使って遊んでいた父親。今、こうして自分のおなかの上で遊ばせているように見えました。(本文より)
親から子へ、孫へと伝えられる“いのち”とは何かが感動をもって迫ってくる。緩和ケアに携わる医療者、本人・家族にとって希望の1冊。
プロローグ
浜辺に吹く風
がんとの出会い/がんくんと免疫くん/居酒屋のお兄ちゃん/手術の日
生きる力/心の白衣を脱いで…/滝の拝/ニワトリのコッコ
波立つ水面
雨の森/いのちの期限/ふきこの膝/再び心の白衣を脱いで…
トイレのドア/光る葉/心の掛け金/山形食パン/監督の手紙
開かれた窓
かいなーん/心の救急車/小樽の親父/垣間見た世界
薄ピンクの花びら/コップとストロー/汚れた布団
あふれる光
いってらっしゃい/おとうさんのおなか/魂と体
ごくらくのてんごく/生きた証/まっしろなうさぎのくり
エピローグ
あとがき