頭痛はわれわれ人類にとって,太古の時代から付き合いのある病気です。「頭痛なんて病気じゃない」と思っている人は、おそらく風邪や二日酔いの頭痛くらいしか経験がなく、頭痛はすぐ治るものと考えている人でしょう。以前の私がそうだったように…。
そんな人にとって,「片頭痛の時のひどい痛みと吐き気、ガンガンと頭に響いて動けない」などという患者さんのつらさは想像すらできないのでしょう。でも片頭痛や、もっとひどい痛み方をする群発頭痛、人類が感じる痛みのなかで本当に最もつらい部類の痛みなのです。頭痛のつらさを知らない身近な人たちにも,この本でぜひ、慢性の頭痛持ちの苦悩をわかってもらってください。
プロローグ なぜ、頭痛専門医を目指したのか
第1章 脳外科医と頭痛
1 ある頭痛患者さんとの出会い
2 身体的にみた頭痛の原因
3 頭痛の自己診断法
4 脳外科医の頭痛の診かた
第2章 心身医学との出会い
1 心療内科研修時代に出会った頭痛
2 心身医学的にみた慢性頭痛の診断
3 慢性頭痛と心理背景
1)緊張型頭痛(心身症)
2)片頭痛(心身症)
3)精神的な面を考える必要のある頭痛
4)慢性頭痛とうつとの関係
第3章 慢性頭痛と神経痛
1 ペインクリニック外来にて
2 頸肩腕症候群と頭痛
3 胸郭出口症候群とは
4 口腔・顔面の痛み
5 頸椎捻挫、むち打ち症関連障害と頭痛
6 筋筋膜痛症候群(MPS)
第4章 頭痛外来の風景
1 肩こりを伴う慢性片頭痛
2 いろいろな慢性頭痛
1)良性労作時頭痛(一次性労作性頭痛)
2)小児の頭痛
3)危険な後頭神経痛
4)慢性頭痛と心因
第5章 慢性頭痛の本質とは
1 私の頭痛は気のせいなんかじゃない!
2 慢性の痛みはどうして起きるのか
3 主観的な痛み体験とは
4 神経因性の痛みと心因性の痛み
5 心因と痛み行動
6 その後のTさんの経過
第6章 慢性頭痛の治療法
1 緊張型頭痛の治療
2 片頭痛の治療
3 群発頭痛の治療
4 後頭神経痛の治療
5 頭痛治療の実際
6 理想的な頭痛治療とは
エピローグ頭痛外来はどうして必要か?
参考書籍
あとがき