緩和ケア・コンサルテーション-悩み多きコンサルテーションとその対応
●特集にあたって
2007 年4月に施行された「がん対策基本法」に基づく「がん対策推進基本計画」では,重要な対策の1 つとして「治療の初期段階からの緩和ケアの提供」が挙げられている。厚生労働省は,全国で288に及ぶ「がん診療連携拠点病院」の指定要件として緩和ケアチームの設置を指示し,がんの早期発見,抗がん剤治療・放射線治療の体制整備・推進とともに,がん医療における緩和ケア提供体制の整備を同時に進めている。
一方,2002 年4 月に設けられた「緩和ケア診療加算」届出施設は80 施設にとどまっており,「がん診療連携拠点病院」の緩和ケアチームで「緩和ケア診療加算」届出施設は42 施設(14.5 %)のみである。現状では緩和ケアチームによるコンサルテーション活動は質的にも量的にも不十分な段階にある。さらに,2008 年4 月には緩和ケアの質の向上を図るため,緩和ケアチームへ専任となる薬剤師の配置を要件として追加し,加算を引き上げた。その一方で,がん患者の地域での療養生活の質の向上を図るため,入院医療に専従とされている医師が外来診療にあたることができるよう,その勤務形態の要件が緩和された。
がん患者とその家族の苦痛を緩和し,QOL の高い療養生活が過ごせるような緩和ケアの提供体制を整備するため,緩和ケアチームおよび院内外の各職種の連携と協働が必須となった。これまでの同職種間のコンサルテーションから,チームへのコンサルテーションとなり,うまく機能しているだろうか。
そこで,今回の特集では,緩和ケアにおけるコンサルテーションの基本的な原則と,実際のコンサルテーション活動のコツを呈示し,解説する。また,コンサルテーションを受ける側の悩みや苦労も多く,その現状について現場の声や課題についても述べることにする。
〔特集〕緩和ケア・コンサルテーション-悩み多きコンサルテーションとその対応
●特集にあたって
緩和ケア・コンサルテーションの基本と実際
コンサルテーション活動を行う前にしなければならないこと
医師の視点から
看護師の視点から
事例から学ぶコンサルテーションのコツ
コンサルティをどう支えるか
医師・看護師共に対応に苦慮した事例へのコンサルテーション
期待と現実のギャップにどう対応するか
コンサルテーションの失敗にどう対応するか
緩和ケア・コンサルテーションをがんばっているあなたへ
拠点病院の緩和ケアチームへ
焦らず,ゆっくり,柔軟に
コンサルティから緩和ケアチームに望むこと
緩和ケア・コンサルテーションの現状と課題
緩和ケア・コンサルテーション覚え書き
●事例に学ぶシリーズ・2008
―こんなときどうする? 野の花の難渋分類への対応〈12〉 訴訟
●らしんばん
喜びのうちに人生の卒業式を迎えたい
●いのちの歌
びっくり
●R E P O R T
第4 回仏教看護・ビハーラ学会
●R E P O R T 第14 回
日本臨床死生学会
●在宅ホスピス物語〈16〉
絆(きずな)
●海外事情
英国ホスピスの旅(1)―「ホスピスケア=緩和ケア」でないことを実感
●暮らしのなかのリンパ浮腫ケア〈5〉
リンパ浮腫の合併症―蜂窩織炎
●現場で使える臨床心理の見方〈6〉
日本の文化と臨床心理の見方
●緩和ケア
―日常業務の知恵⁄4 計画実施と入棟後の管理(4)
〔投 稿〕
●症例報告
腰椎転移に伴う難治性下肢痛に対して持続くも膜下ブロックで疼痛管理した症例