がん対策基本法の前と後―何が変わり,何が変わらないか
「がん対策基本法」が2007 年4 月より施行された.それを受けて策定された「がん対策基本計画」は,2012 年にはその見直しが予定されている.本特集はそれに先立ち,わが国の緩和ケアの現状と課題を俯瞰することを目的として,「がん対策基本法」「がん対策基本計画」によって,実際どのように緩和ケアが変わったのか,その影響や変化また課題について多角的に考察する.
がん診療連携拠点病院(以下,拠点病院)に緩和ケアチームができ,がん治療早期から緩和ケアを取り入れることが重点目標として掲げられている.そして,緩和ケアの基本教育の推進は国がもっとも力を入れ取り組んでいる課題であり,全国規模での緩和ケア研修会が実施されている.また,緩和ケアの地域連携では,「緩和ケアプログラムによる地域介入研究(OPTIM study)」が取り組まれており,実施地域では成果を挙げつつある.拠点病院は,いわゆる急性期の大規模病院がほとんどであり,それらの病院はこれまで緩和ケアに十分取り組んでいたとはいえない施設も多く,拠点病院の指定を受けるために,緩和ケアチームや相談支援センターなどの活動を開始したところも少なくない.そうした病院で実際にどのように緩和ケアに取り組み,どんな課題を抱えているか,それらを明らかにしていく必要がある.また,従来より緩和ケアに取り組んできた緩和ケア病棟や緩和ケアチームを届け出ている病院にはどのような影響があったのか,また地域連携や在宅緩和ケアにはどのような変化をもたらしたのか,そういった側面からも検討していく.
さらに,「がん対策基本法」「がん対策基本計画」以降に各地で行われている実際の取り組みの現状と課題について紹介して,国のがん対策への取り組みが始まって3 年目の緩和ケアの現状と課題に焦点を当てて,考察する.
〔特集〕がん対策基本法の前と後―何が変わり,何が変わらないか
特集にあたって
【座談会】がん対策基本法実施後に緩和ケアはどう変わったか
がん対策基本法と緩和ケア―包括的がん医療への転換と当面する課題
がん対策基本法後の緩和ケア教育
― PEACE プロジェクトの実践を通して
がん対策基本法後に緩和ケアチームはどう変わったか
―研修会からみえる課題
がん対策基本法後に緩和ケア病棟はどう変わったか
―当院緩和ケア病棟の経験から
がん診療連携拠点病院において相談支援センターは
どのような役割を担っているか
政権交代で改革の足踏みが予想されるわが国の在宅緩和ケア
各地域におけるがん対策基本法の前と後の取り組み
緩和ケアにおける高知の取り組み
「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」を中心とした
長崎の取り組み
がん医療対策における島根の取り組み
らしんばん
緩和ケアへの導入・移行を支えるケアとは
―より良いQOL を目指して
カンファレンスから学ぶ緩和ケア6
緩和ケアチームにおけるカンファレンスの実際
―亀田総合病院の場合
オピオイドローテーション☆私はこうしている3
がん性疼痛に対して複方オキシコドンを使う
オピオイドローテーション
コミュニケーション広場
心と心をつなぐ子どもの在宅緩和ケア
いのちの歌
年金生活
R E P O R T
対人援助・スピリチュアルケア研究会第3 回学術研究大会
オレンジバルーンプロジェクト市民公開シンポジウム
第3 回日本緩和医療薬学会
第33 回日本死の臨床研究会
KATSUDO 津々浦々1
在宅ホスピス阻害要因克服による地域連携の促進
―西胆振在宅ホスピス・ネットワーク
海外事情
カンボジアのPalliative Care z
―アンコール小児病院の現状と取り組み
緩和ケア―日常業務の知恵21
症状緩和(7)―疼痛⑤
最期のことば集1
人生の総決算
在宅ホスピス物語23
ふるさとで風になって
調査報告
浜松市のがん患者に対するケアマネジメントの実態調査