どうしたらよい? 死別ケア
死別ケア(bereavement care)は,ホスピス・緩和ケアの働きの1 つであり,遺族のためのさまざまな取り組みが試行錯誤しながらこれまで行われてきた.近年では社会的にも死別ケアの存在や必要性が少しずつ認知されつつあるが,その方法論は必ずしも確立していない.今後,死別ケアの幅広い活動や普及啓発が計られる一方で,ケアの質がますます問われることになるであろう.そこで本特集では,ホスピス・緩和ケアにおける死別ケアの具体的な方法や,海外での取り組みを紹介し,死別ケアのさらなる充実に向けて何ができるのかを考えてみたい.
本特集は3 部構成であり,第1 部では死別ケアの基礎知識としてケア提供者が知っておくべき事柄を取り上げた.まず冒頭において,死別ケアに関連して用いられる用語について整理した.続いて,死別ケアの場面で遭遇する可能性のある複雑性悲嘆や子どもの悲嘆について,最新の研究知見をふまえて解説した.
第2 部では,ホスピス・緩和ケアでの代表的な死別ケアに関して,どのように行えばよいのかについて,具体的に述べていただいた.これから死別ケアを始めようと思っている方々や,死別ケアのやり方に迷っている方々にとっての指針になればと考えた.
第3 部では,イギリス,アメリカ,カナダ,オーストラリアにおける死別ケアの現状について報告していただいた.文化や制度の違いがあり,諸外国での方法をそのままわが国に導入することは難しいかもしれないが,各国での取り組みから学ぶところは大きいと思われる.
わが国の死別ケアは発展途上の段階にあり,わが国の社会や文化に根づかせるためにも,質の高い死別ケアのあり方を実践と研究の両面から模索していく必要がある.本特集が,そのきっかけになれば幸いである.
〔特集〕どうしたらよい? 死別ケア
特集にあたって
死別ケアに関する用語の整理
複雑性悲嘆の理解と早期援助
子どもの悲嘆とその対応―積極的な受け身の姿勢で寄り添う
こうしたらよい! 死別ケア
遺族への手紙の送り方
追悼会の運営の仕方
サポートグループの運営の仕方
遺族をみまもる「グリーフカード」
家族の会の運営―体験者による自主運営の実際
海外における死別ケアの取り組み
アメリカのホスピスにおける死別ケア
イギリスにおけるビリーブメントケア
カナダにおける子どもの死別ケア
オーストラリアにおける死別ケア
ショートレビュー
死別ケア研究の歴史的系譜
らしんばん
今こそ,ホスピス緩和ケア病棟で医学的リハビリテーションを
経験したことを伝えていこう研究論文の書き方1
論文を書く,その前に―原著論文の査読システムを知る
オピオイドローテーション☆私はこうしている6
異なる視点からのオピオイドローテーション
緩和ケア―日常業務の知恵24
症状緩和(10):疼痛⑧
いのちの歌
米寿のチャレンジ
最期のことば集4
最期の希望
KATSUDO 津々浦々4
「緩和ケアチーム」活動の壁を乗り越えるには
在宅ホスピス物語25
癒しのあかりのうた(1)―ランプシェードに花びらを
海外事情
オーストラリアの緩和ケア2
―カリタスクリスティホスピスとスタッフサポート
視 点
地域における緩和ケアの連携を促進する取り組み
―フォーカスグループの有用性3
〔投 稿〕
原 著
終末期乳がん症例の臨床的特徴とホスピス・緩和ケア
への移行について