緩和ケア 2013年3月号

“同時改定”と“基本計画見直し”で何が変わったか─現場の手応えと課題

　　2012 年4 月に診療報酬・介護報酬同時改定，2012 年6 月には「がん対策推進基本計画」の見直しがされて，さらに2013 年3 月までには各都道府県の医療計画の見直しも行われている。わが国では，少子高齢化が進み，超高齢社会を迎えて，医療提供体制の改革の流れの中で，緩和ケアの臨床現場が，これから大きく変貌していくことは間違いがないだろう。

　厚生労働省の政策としては「2025 年を区切りに少子・高齢化が進む下での超高齢社会における社会保障全体の安定を図ること」を目標とし，そのために「地域包括ケアシステム」実現を目指しており，診療報酬や介護報酬をはじめ制度や予算面での対応も含めて，「ヒト・カネ・モノ」を在宅医療と在宅ケアの拡充に振り向けようとしている。

　これらの大きな変革を前に，緩和ケアの現場はどう変わっていくのだろうか。本特集ではまず，がん対策推進基本計画，診療報酬改定，医療計画と緩和ケアの関連を解説する。次に，これまで現場ではどのような影響があったか，またどのような対策を講じているのか，がん診療連携拠点病院・緩和ケア病棟・緩和ケアチーム・在宅療養支援診療所，それぞれから声を集めて，今回の同時改定のメリット・デメリットを明確にする。トピックスとして，厚生労働省が進める「在宅医療・介護あんしん2012」と「在宅医療連携拠点」がどのように進められ，何を目指すかも取り上げる。政策・制度の理解が現場に活かされ，わが国の緩和ケアが成熟する一助となれば幸いである。