すっきりしない症状への対応─どこまでやれば「合格」か?
痛みや呼吸困難、悪心のような代表的な症状には、ガイドラインがあり、おおむね行うべき治療が決まっている。臨床家は、悩みながらも、「まぁ、これくらいやればだいたいは“合格”だろう」という線をイメージすることができる。
しかし、とまらないしゃっくり、頭頸部がんや、がん性髄膜炎のなんとなくすっきりしない症状、全身がかゆい! …となると、「どこまでやれていたら“合格”といえるのか」「最低でもここまではしておきたいというラインはどこなのか」は、“専門家”でもなかなかはっきりしないのではないだろうか。
今回の特集では、ガイドラインなどはっきりした記述のない症状や、遭遇する頻度は比較的少ないが難渋することが多い症状について、以下の点を専門家の立場から明らかにした。
①最低でもここまではしておきたいというライン。病院、在宅、緩和ケア病棟…どのセッティングでも、「最低限」ここまではしておくという治療とケアは何か?
②できればここまでやっておきたいというライン。緩和ケアを専門とするチームや施設で、ここまではできればやっておきたい治療とケアは何か?
③何をやってもすっきりしない時の考え方。手を尽くしたと思うが、患者の期待するようには症状が取れない時の対応の仕方や考え方は何か?
本特集が、すっきりしないつらい症状に対する理解を深める一助となり、患者さんのQOLの維持・向上につながれば幸いです。
〔特 集〕すっきりしない症状への対応
─どこまでやれば「合格」か?
特集にあたって…森田達也,他
頭頸部がん患者の痛み・頸部圧迫感・顔面の浮腫…須磨崎有希,他
終末期の倦怠感…松尾直樹,他
悪性潰瘍のにおい…茅根義和,他
原因のはっきりしない全身性のかゆみ…武見綾子,他
腕神経叢浸潤による神経障害性疼痛…波多野貴彦,他
厄介な直腸テネスムス…上元洵子,他
止まらないしゃっくり…松田洋祐,他
おさまらない下痢…清水啓二,他
がん性髄膜炎の頭痛…大西佳子,他
発汗・多汗…関本 剛,他
〔連 載〕
◆いま伝えたいこと─先達から若い世代に
入院型ホスピスケアから在宅ホスピスケアへ…関本雅子
◆FAST FACT
不眠の治療…井上真一郎
◆緩和ケア口伝─現場で広がるコツと御法度
・がん患者サロン運営のコツ…安藤詳子,他
・血尿にアドナ®・トランサミン®はやってはいけないのか? …三浦剛史
・合ってる? そのハロペリドールの使い方…山川 宣
・炎症症状のあるリンパ浮腫患者の圧迫療法…入江佳子
◆落としてはいけないKey Article
ステロイドは痛みに効くか?
─食欲とだるさはよくなるが痛みは変わらず…森田達也,他
◆仕事人の楽屋裏
岡本拓也
◆見学では分からない海外事情
16年の途上国経験で看る緩和ケア…赤尾和美