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「生と死」の21世紀宣言 part5-喪失と生きなおす力

「生と死」の21世紀宣言 part5-喪失と生きなおす力
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まえがき 萩山祥光

第1部 私の死、愛する人の死とどう向き合うか

1)今、生老病死を問い直す-現代に生きる空海 静 慈圓
2)妻を看取る日 垣添忠生
3)「死なれる」という経験 鷲田清一
4)悲しみは真の人生のはじまり 高木慶子
〈語らい〉私の死の迎え方 柳田邦男・井形昭弘・井村裕夫・南 裕子・山折哲雄・吉田 修

第2部 いま、問われる命と心の絆

1)仏教思想にみる他者への思いやり 藤田光寛
2)死の臨床 -新たな課題と展望 柏木哲夫
3)仏教、悲しみから生まれる力 島薗 進
4)仏足頂礼高野山足湯隊-被災地における傾聴ボランティア 辻 雅榮
5)看取りの場で宗教者とチームを-被災者、患者の体験から在宅緩和ケアを見直す 岡部 健
〈語らい〉危機の時代に問われる日本人の価値観、死生観 柳田邦男・山折哲雄・岡部 健・島薗 進・辻 雅榮・藤田光寛

あとがき 柳田邦男
(〈語らい〉のお名前は発言順)

「生と死」の21世紀宣言 part3-医療におけるヒューマニティと宗教心
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まえがき萩山祥光

1 潜在的な命と医の心の再生池口惠觀
2 死のイメージとスピリチュアルケア柏木哲夫
〈語らい(1)〉医療におけるヒューマニティと宗教心-それぞれの生と死に寄り添う心 森 寛勝・川越 厚・辻本好子・南條輝志男
〈語らい(2)〉宗教者は医療に何をなしうるか 町田宗鳳・添田隆昭・壽山良知・鈴木秀子・山折哲雄
〈語らい(3)〉死をめぐる対話-死者は死んで初めて生まれる 柳田邦男・鷲田清一

あとがき柳田邦男
(〈語らい〉のお名前は発言順)

緩和ケア 2012年11月号
200062

目次

〔特集〕緩和ケアに携わる人の“つらさ”と癒し

特集にあたって…田村恵子,他
緩和ケアで“つらさ”といわれるものをどう考えるか…田村恵子
緩和ケアに携わるスタッフが体験する“つらさ”とその理解 …栗林幸江
●緩和ケアに長く携わるコツ
今日もため息,そして挨拶とチームの力─気がつけばそこに笑顔があった…大谷弘行,他
振り返りを楽しみながら学ぶ…柏谷優子
患者・同僚と垣根なく楽しむ…塩川 満
気持ちを仲間と分かち合い,支え合う─無理なく“つらさ”と向き合うための工夫…長友隆一郎
その方の人生の大切な時を共にする─緩和ケアにおけるソーシャルワーク実践を積み重ねて…田村里子
●こころと身体をほぐそう
緩和ケアにおける感情労働…三井さよ
エンカウンターグループの役割…広瀬寛子
マインドフルネス瞑想の基本と実践…井上ウィマラ
忙しい日々に,香りにゆだねるひとときを─アロマセラピーの実践…宗定水奈子
場面に応じた呼吸法の実践…栗原幸江
●ショートレビュー
緩和ケアにおける医療従事者のストレスとその対処…福宮智子,本間織重

〔連載〕

◆EAPC(ヨーロッパ緩和ケア学会)疼痛ガイドラインを読む〈4〉…鄭 陽,森田達也
1 アセトアミノフェンとNSAIDs の役割, 2 鎮痛補助薬の役割,
3 腎機能障害のある患者へのオピオイドの使用
◆わたしのちょっといい話〈7〉
ひだまりの中で…髙橋昭彦
◆画像で理解する患者さんのつらさ〈4〉
急に顔と首が腫れてきたんですけど,大丈夫でしょうか?…水越和歌,斎藤真理

〔コラム1〕

●らしんばん
緩和ケアの“主観”について考える…岡本拓也
●東日本大震災 つながり・たより〈4〉
詩で綴る東日本大震災への想い─岡部健氏に捧ぐ…堂園晴彦
●海外事情
自分らしく生きるための支援─英国がん患者支援施設マギーズ・センターの視察より…岩田祐佳梨

〔コラム2〕

○いのちの歌
新しい挑戦…朝倉雲鶴
○コミュニケーション広場
日本ホスピス緩和ケア協会2012年度年次大会─訪問看護師として参加して…柴田恵子
○REPORT
第18回 大学病院の緩和ケアを考える会
第20回 日本ホスピス・在宅ケア研究会
○レシピで団欒らん!〈5〉
口腔乾燥に! ふわふわワンタンスープ…桑野寛子,他

〔投 稿〕

◇調査報告
緩和ケア認定看護師の役割認識と背景との関連…井上佳代,他

使命を生きるということ 真のホスピス緩和ケアとがん哲学外来からのメッセージ
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医療の主流と本流 -「まえがき」に代えて柏木哲夫

ホスピス医としての使命 (エッセイ1)柏木哲夫

使命、宿命、運命
患者さんを“丸ごと診る”医師になりたい
アメリカ留学を決めた「運命」
アメリカで精神科レジデントとして働く
「ホスピスの原型」との出会い

「がん哲学外来」の原風景 (エッセイ2)樋野興夫

1300年前の医療発祥の物語
インプットされたイメージ
近未来の医療のさきがけとして

ホスピスケアの原点に立って (エッセイ3)柏木哲夫

ホスピスケアの始まり
OCDPチームの働き
末期の患者さんのための場が欲しい
ホスピスをつくる

だれから、いかにして、学ぶか (エッセイ4)樋野興夫

尊敬する人物を、ひたすらに学ぶ
新渡戸稲造と内村鑑三
南原繁と矢内原忠雄
吉田富三

出会いで変わる人生ダイアローグ1

「さみしさ」の子ども時代
家の中にあった看取りと死
「人間は死ぬ」
大学浪人時代の出会い
病理医だからできること
ホスピス医に必要なこと
キリスト教の信仰を得たとき

支える・寄り添う・背負うケア (エッセイ5)柏木哲夫

震災後の悲しい現実
心の準備のない死の悲しみ、複雑に重なり合う悲しみ
「差し出す医療」と「支える医療・ケア」
寄り添うケア・背負うケア
ユーモアの力

医療の隙間を埋める (エッセイ6)樋野興夫

陣営の外へ
アスベスト・中皮腫外来
「がん哲学外来」が必要だ

根っこでの人と人のつながりダイアローグ2

時の後押しで「がん哲学外来」へ
「がん哲学外来」の底流にあるもの
患者さんに学んだことを発信する
そのひとりのために、主体的に隣人になる
言語化する、言葉を伝えるということ

人生を考える (エッセイ7)柏木哲夫

人として生まれ、人として生きる
人は体と、心と、魂を持つ
スピリチュアリティが覚醒するとき
「魂の痛みをケアする」ということ
死を迎えるよりつらいこと

「がん哲学外来」の使命 (エッセイ8)樋野興夫

「がん哲学外来」とは何か
細胞も人も、使命があってこそ生きる
メディカルタウンの実現を目指して

よき生と死のための使命ダイアローグ3

気持ちをわかり、感情に対する手当てをする
自分の気持ちを押しつけず、他人の必要に共感する
「お節介」と「受身の踏み込み」
牧会カウンセリングの可能性
なぜ「お祈り」なのか、「安易な励まし」なのか
人間は、持っているものを使いたがるけれど
スタッフの癒しの場、学びの場としての「がん哲学外来」
「小さな死」体験が、死を受け入れる力を養う
「よき死」のために
よき生を生き、使命を果たす

あとがき-恩師 菅野晴夫先生に捧ぐ 樋野興夫

わかりやすい構造構成理論-緩和ケアの本質を解く
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1問題の所在

緩和ケアの特徴と関連し本質的に内在する問題について
「辛さ」に焦点を当て,これに対応する-主観を治す
全人的医療を志向する-意味や価値をも対象とする
多職種によるチーム医療を重視する-信念対立と相乗効果
COLUMN 1
構造構成主義とは何か

2構造構成主義について

構造構成主義とは何か
構造構成主義が持つ関心
構造構成主義は道具である
構造構成医療学とは何か
COLUMN 2
構造構成主義の道具は「原理集」である

3重要な概念について

主客問題・認識問題
自然的態度
判断中止
還元(現象学的還元)
現象
志向相関性
構造
COLUMN 3
LIFE IS A GAME!
ソシュール言語学
言葉の恣意性
言葉の差異性
言葉の蔽盲性【へいもうせい】
記号論的還元
戦略的ニヒリズム
マインドフルネス(気づき)
COLUMN 4
「今,ここ」を生きる

4臨床に直結する7つの具体例

「痛み」について
「せん妄」について
COLUMN 5
全人医療の系譜
「QOL」について
「スピリチュアルペインに関係した分類」について
「スピリチュアルペインとそのケア」について
COLUMN 6
6歳のミッションステートメント
「チーム医療における信念対立」について
「チーム医療における相乗効果」について

参考文献

あとがき

謝辞