あまるほど手芸作品を量産する方、トイレットペーパーを四つ折にして積み上げる方、無反応な方、徘徊して他人の箪笥を荒らす方、今日も老人保健施設には個性的な高齢者が集う。高齢者たちの顔の向こう側にあるものは?
本書には、高齢者とセラピストとの心に沁みる32話が載せられている。人に受け容れられようとし、褒められたいと願い、また誰かの役に立とうと世話を焼き、笑い合う仲間を求める高齢者。それは、セラピストだって同じ。淋しくて、愛おしい人と思った時からリハビリテーションに不思議なエネルギーが立ちのぼる。
職場で葛藤しているセラピスト、利用者さん・家族にとって希望の1冊。
主な内容
1.母に伝わることば
2.平行棒
3.リハビリの「リ」の場所
4.生きている甲斐
5.お姉ちゃんのちり紙
6.折れないプライド
7.彷徨うレクリエーション
8.表現って何だろう?
9.自然と湧いてくるレクリエーション
10.笑顔のプレゼント
11.小さな返事
12.演劇と作業療法の間で
13.仕事
14.心の石ころ
15.芝居を創る
16.それぞれの演劇
17.そして本番
18.本当の食事
19.選択すること
20.母の味噌汁
21.父としてのバージンロード
22.住宅改修
23.女の洗顔
24.伝えること
25.新郎の母として
26.雪
27.喪失の隙間
28.コッカラダ
29.託されたレコード
30.また明日
31.弔い
32.池田さんのメッセージ