末期がんや難病を背負った人間が生きる希望と力を取り戻すには、どうすればよいのか。医療を乾いた3人称の視点から潤いのある人間性の視点に転換させるには…。現代の宗教が苦悩する病者の心にかかわり合うには…。医療者にスピリチュアルな問題がわかる心を、宗教者に現代医学の生命論の素養を、そして両者が手をつなぐ道を探ろうとする21世紀高野山医療フォーラム3年間の共同思索の記録を広く共有してほしい。
-柳田邦男氏
医学、医療、宗教、文学、心理学、哲学、解剖学の賢哲による、かつてない「生と死」の共同思索。医療関係者、当事者、ご家族に医療と生老病死について気づきを誘う内容。
まえがき-苦痛・苦悩からの解放を目指して 静 慈圓
第1部 心と身体と生老病死
1)命の不思議 河合隼雄
2)生と死を支える日常性 南 裕子
3)医療と宗教-管見 森 亘
4)生命を考える 吉田 修
5)共生から共死へ 山折哲雄
<討論>人生の最終章をより良く生きるために 柳田邦男・吉田 修・南 裕子・山折哲雄・森 亘
第2部 今のいのち、永続的ないのち
1)ケアの本質 柏木哲夫
2)生命科学の進歩とケアマインド 南條輝志男
3)仏教の立場からみた医療と宗教 田中雅博
4)私のライフサイクル論 柳田邦男
5)高齢社会におけるウェル・エイジング、ウェル・ダイイング 井村裕夫
<討論>生と死を支える家族・地域・社会 柳田邦男・柏木哲夫・田中雅博・南條輝志男・井村裕夫
第3部 生の意味、死のゆくえ
1)人生の意味を支えるケア 手島 恵
2)生活習慣病と死からの生還 松崎益徳
3)終末期がん患者のスピリチュアルケア 村田久行
4)四国八十八か所遍路の体験 資延敏雄
5)解剖学者からみる生と死 養老孟司
<討論>一人ひとりに耳を傾け、聴くということ 柳田邦男・手島 恵・松崎益徳・村田久行・資延敏雄・養老孟司
あとがき-「生と死」の21世紀宣言 柳田邦男