認知症初期集中支援チーム始動!
2012年(平成24年)6月に厚労省より発表された「今後の認知症施策の方向性について」や同年9月に公表された「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」などにより,認知症の初期集中支援チームが注目され,その中には作業療法士の職名も明記されている。この初期集中支援チームに期待されている役割には,地域(在宅)において,社会的偏見や社会資源の不足などにより受診が遅れることに伴うさまざまな問題(いわゆる「入り口問題」)の解決という意図も含まれている。
これまでは,認知症が進行し,家庭内でのケアが困難になってから,外来または入院後の病棟で,生活とは離れた時点から作業療法士は認知症の人と出会ってきた。その出会いの時間的ポイントを早期に移し,より生活に密着した時点から関わるという作業療法士本来の役割にも影響することとなる。
本特集では,すでにこの初期集中支援チームに関わっている作業療法士の経験をもとに,認知症の発症初期の在宅支援に作業療法士が関与することの効果を整理していく。作業療法士が関与することでのメリットは何か。それにより期待されているアウトカム(効果指標)は何か。認知症という病気に対する情報が不足し,将来に怯えている家族に,安心して支援を受け取っていただけるよう,チームの作業療法士はどのようなスタンスで関わっていくことが望ましいのかなどをさまざまな視点から報告していただく。
果たして認知症初期集中支援チームで作業療法士は生き残れるのか。今,実践を始めている作業療法士からの緊急現場報告である。
特集 認知症初期集中支援チーム始動!
編集担当:苅山和生,小川敬之
認知症初期集中支援チームと作業療法 小川 敬之 92
認知症初期集中支援チームでの作業療法士の役割 村島 久美子,他 99
認知症施策における市町村や地域包括支援センターでの作業療法士の役割 佐藤 和彦 107
多職種連携による認知症の在宅支援 小川 敬之 112
認知症初期集中支援チームに家族が期待すること 谷川 良博,他 118
認知症初期集中支援チームの将来のかたち 苅山 和生 123
ライト☆すぽっと
作業療法は,人と人との関わりそのもの―病いとどう生きるかを,ともに考える― 山根 寛 86
連載
■スキル
回復期リハビリテーション病棟におけるチームアプローチ
回復期リハビリテーション病棟でのチームアプローチの必要性と当法人の工夫 峯下 隆守 149
イラストで見る脳卒中片麻痺患者へのアプローチ
ADL障害の理解と介入① 渕 雅子 163
■レクチャー
お家を変えよう!
認知症と住宅改修① 児玉 道子 132
発達領域におけるIT活用支援
コミュニケーションへの支援 長野 清一郎 153
コラム
■ライフ
あのころいま
遠回りし続けてきた夢 茂木 有希子 84
女性OT☆ひとりで悩まないで
育児と仕事の両立 宇田 薫,他 134
ちょっといいですか?
心のケア グループ・ピアズ 140
ぼくのリハビリ物語
コミュニケーションは目で,パソコンは足で 藤井 規之 145
作業療法のアイデンティティー
すべての子どもの作業を可能にする社会を目指して 辻 薫 158
■View
掘り起こせ“やる気”OTスコップ隊 認知症の人編
軽度認知症の人への料理活動(その1) 上城 憲司,他 129
パント大吉のどこでも遊ぼ!
花見で人探し パント大吉 130
■編集部が見つけたキラリ発表
回復期リハビリテーション病棟協会 第23回 研究大会in名古屋
「孫に絵本を読んであげたい」純粋失読が改善した1事例 米山 千佳,他 136
早出介入において更衣動作が自立した1症例―回復期リハビリテーション病棟での「しているADL」の取り組みについて 渡辺 正人,他 138
アラカルト
はじまりのことば 巻頭色頁
カメラマン川上哲也の見た世界 目次前
インフォメーション 143
書評 170
既刊案内 111
次号予告 172