気づきが実践となる 福祉用具活用の手引き
2000年より介護保険法が施行されてから,福祉用具の発展(性能・開発)と供給体制は大きく進歩した。また,ITの普及や工学の発展により,多様な福祉機器が普及する時代に突入している。そのようななか,OTには時代のニーズに応じた福祉用具や機器の選定・適合の知識や技術が要求され,その支援に対する多様なリスク管理も重要になってくる。
次に,社会保障・税一体改革では,高齢者施策の,特に医療と介護(予防も含む)において,「地域完結型」を目標にした包括的ケアが推進されている。なかには病院と在宅医療と介護のすべての機能をもつ機関もあれば,単一事業体の診療所や介護事業所などもある。そこにおいては医療と介護の連携は不可欠であるが,何をどこまでできて連携といえるのかといった,「連携の定義」などというものはない。福祉用具や機器の適合のタイミングと,その情報の共有は重要である。
OTは医療保険領域,介護保険領域,どのような形態の事業で勤務していても,それぞれの制度を理解し,対象者により良い支援サービスを提供することを考えなければならない。
本特集では,一般社団法人日本作業療法士協会の「福祉用具支援システム」の活用や転倒予防のエビデンスを紹介し,OTの専門領域である福祉用具・機器,家具配置などの環境アプローチについて,製品の多様化への対応や,現行制度での活用,連携方法など,これからOTが抱える課題を整理し,進むべき方向について考える。
気づきが実践となる 福祉用具活用の手引き
編集担当 寺本 千秋
臨床現場に活かす福祉用具相談支援システム 島ノ江 寿
福祉用具活用の制度とこれからの教育指導指針 植田 友貴
転倒対策に必要な環境支援のエビデンス 鈴木 みずえ
これからの福祉用具活用法① 生活支援ロボット(介護ロボット)の開発と作業療法士の役割 福元 正伸
これからの福祉用具活用法② “福祉用具・機器の改良”および“自助具作製”の注意点とPL法の理解 林 正春
“失敗しない”福祉用具の活用とスタッフ連携① 病院・施設編 地域包括ケアシステムにおける双方向性の住環境整備支援 太田 智之,他
“失敗しない”福祉用具の活用とスタッフ連携② 訪問編 対応すべき課題の析出と作業の成り立ちを捉えた支援 小林 大作
烈闘作業療法
特別対談 働きながらの子育ては,視野をも養うプラスのキャリア 宇田 薫×河合 麻美
連 載
ADL潜考と日常実践
移動動作の評価と介入 三瀬 和彦,他
責任者はつらいよ,でも楽しいよ
話すこと褒めること 寺本 千秋
コラム
らんどまーく
打って反省,打たれて感謝 上城 憲司
OTとして私が大切にしていること
生き残れるOTでありたい 藤原 太郎
女性OT ひとりで悩まないで
男性OTが育休を経験することとは―OTだからこそ得られる経験がある 宇田 薫,他
なんでもできる100均グッズ
予算は100円! クラフト教室(その2) 羽田 舞子,他
【「地域ケア会議編」最終回】しっちょきよえ! 地域ケア会議の常識
これからの未来を考えちみるけん!! 児玉 隆典,他
【「新人編」最終回】新人OTあゆみちゃんの回復期リハ病棟記
病棟生活へのアプローチ 吉川 歩
編集部が見つけたトキメキ発表
●第52回 日本作業療法学会
回復期リハビリテーション病棟における脳卒中片麻痺患者の身体・行為の自覚が作業に及ぼす影響 池田 公平
当院におけるOJTチェックシートの試用について―第2報 峯下 隆守,他
アラカルト
【最終回】作業療法周辺のニュース
はじまりのことば 川口 淳一
カメラマン川上哲也の見た世界
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