現場で活かそう作業科学
日本作業療法士協会では,「食べたり,入浴したり,人の日常生活に関わる全ての諸活動を“作業”」とし,作業療法では,「その人なりのその人らしい生活を“作業”を通じて作っていく」としている。つまり,作業を目的としてそして手段をして用いる作業療法士は,作業の専門家とも言える。
1980年代から1990年代にかけてアメリカの作業療法士たちによって提唱された作業科学は,作業を探求する学問である。作業科学は作業療法の基礎学問であり,われわれ作業療法士が習得しそして臨床で活用すべき学問であると考えられる。しかし,その学問を熟知しなければ,学問を臨床現場で活かすことは難しいと考える。
そこで本特集では,作業科学の概要をわかりやすく紹介するとともに,作業科学の視点を臨床場面で活用した例を取り上げ,作業科学と作業療法とのつながりを理解できるようまとめた。
本特集を通して,作業科学を学問として学ぶだけではなく,作業科学の視点で現場を見て,そして臨床で活かすための示唆となれば幸いである。
現場で活かそう作業科学
編集担当 渡邊 基子
作業科学とは 坂上 真理
復職に向けた協働のプロセス―作業の知識を活かした病院での取り組み 大下 琢也,他
がん患者が入院生活で見出した希望に影響を与える他者の存在と関係性 安田 友紀
作業科学で視る介護老人保健施設―作業的公正の視点を通して 真田 育依
だから,作業“科学”が大好きです!―体験者が伝える作業とは? 葉山 靖明
3作業科学と作業療法 ボンジェ・ペイター
連 載
はじめての患者さん
新人時代の振り返りと印象に残ったお二人から学ばせていただいたこと 山本 伸一
甦るヒストリー再掘作業療法:私のたどった細道
荒波にもまれて 浅海 捷司
責任者はつらいよ,でも楽しいよ
考える前に行動,なんとかなる!! 藤原 太郎
未来の作業療法☆設計図
自費領域での可能性と未来デザイン 金子 唯史
見せます!OT室のちょっとしたアイデア
地域に根差した作業療法室の紹介 鴨下 賢一
コラム
OTとして私が大切にしていること
人生90年時代―60歳から先の作業療法士は
何を大切に生きましょうか 浅野 有子
社会の目・OTの目
多様な社会の中で,生きる気づき 浅倉 恵子
作業療法士のアウトプット 宮本 昌寛
女性OT ひとりで悩まないで
働く妻を持つ夫として考えること 宇田 薫,他
【3年目編】3年目OTあゆみちゃんの回復期リハ病棟記
はじめての学会発表 吉川 歩
作業療法の場面でまちがいさがし パント大吉
アラカルト
巻頭頁 はじまりのことば…川口 淳一
目次前 カメラマン川上哲也の見た世界
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今月の表紙の「ことば」
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