ひとと人との出会い、それは理屈ではない。知識や理論で得られるものでもない。ひとの手を借りなくては、食事をすることができない者がいる。そうした重度の障害がある自分たち自身が、生活をともにし、生活をしている場を教材として提供する。その場を介護という考えと技を身につける学びの場にすればよいということにある時、気づいた。これは「土の会」の活動を中心にして著者らが真剣に生きた時代と、すてきな仲間の物語である。
現在の土の宿は、沖縄の小島である伊江島にある。伊江島の豊かな自然をふんだんにカラー写真で紹介し、共存と自立という本来の生き方の問いかけがある。また、さわやかでユーモアを感じる筆致の中にも障害と向き合い、自由に生きる術が自分のこととして伝わってくる。
旅のはじまり
第一部 「まなびや-」の風に誘われ
第二部 タイムスリップ
第三部 「まなびや-」の源流-土の会創世期四方山話
その一 はじまり
その二 にわとりが来た
その三 蚊取り線香キャンプ
その四 打ち上げ花火ボランティア
その五 ちょっとそこまで。下関?
その六 油断大敵
その七 厠をかついで鬼から逃げた話(前編)
その八 厠をかついで鬼から逃げた話(後編)
その九 一九九一年の京都にワープ二〇年(前編)
その一〇 一九九一年の京都にワープ二〇年(後編)
その十一 真夜中のラーメンは誰がつくる?
その十二 闘い続けた豆だぬき
その十三 鵜の目 鷹の目 浩子の目
その十四 おばさん、背中でシャチホコせんといて
その十五 「みちゃるほうがええ」けど、和風台所は腰が痛いよ
その十六 電気式車いすは一人力
その十七 幻の土の宿焼き
その十八 「みんなね、なんもかも土にもどるんよ」
その十九 土にもどった万田の母ちゃん
第四部 「まなびや-」の潺-土の会の内から外から
その一 大きな地震の後で
その二 メイヨーの世界
その三 働く権利、働く楽しみ
その四 普通に死にたい
その五 生きがいを求めて
その六 ハートのトランクスの挿し絵を描いて
その七 一宿一飯の極意
おわりに-「まなびやー」への道