スピリチュアルケアの目指すところは、患者や利用者の生活全般に関わり、人生観にふれ、たましいの深みに触れるケアである。本人に与えられた人生を輝かし、生まれてきて良かったといえるように援助することである。長い間、そうしたスピリチュアルケアの実践に役立つ書籍が求められてきたが、分かりやすい実践書としてついに結実。
キリスト教をベースとした本分野でのパイオニアの窪寺氏、仏教思想・心理療法を深めた井上氏が、ある項目ではそれぞれ十分な内容を記し、あるテーマでは短い文章のリレーを行う。宗教を超えた絶妙のコラボレーションで、未知の世界を切り開き、読者の日常ケアにおけるスピリチュアルケアを現実的に応用できるよう提示している。
死や病に苦しむ人たちの“いのち”のケアに携わる医師、看護師、介護福祉士などにとって、マニュアルではない、道先案内書としてのガイドブックとなっている。
I スピリチュアルケアとその理論的背景
1. スピリチュアルケアの歴史と展望
2. スピリチュアルケアとは何か
3. スピリチュアルケアの構造的特徴
4. スピリチュアルケアと他の援助との相違
5. 日本的スピリチュアルケアとは何か
6. スピリチュアルケアを実践するために必要な諸理論
II スピリチュアリティの働きを読み解く視点
1. 記憶のからくり
2. ありのままを見つめる心
3. 身ぶりの意味を読み解く
4. 愛着形成と悲嘆
5. 人生で大切な5つの仕事
6. 陽性転移と陰性転移
7. ファミリーコンステレーションと院内コンステレーション
III スピリチュアルケアの実践論
1. 実践上の留意点
2. スピリチュアルペインを知る
IV スピリチュアルケアの技術と準備トレーニング
1. スピリチュアルケアのための技術論(スキル論)
2. スピリチュアルケアのための準備トレーニング
V ケースに学び,実践に備える
1. 〔事例1〕隠された悲嘆
2. 〔事例2〕「大好きだよ」を言う
3. 〔事例3〕「ありがとう」を言う
4. 〔事例4〕人生の意味を見つける
5. 〔事例5〕代理戦争の和解
6. 〔事例6〕Aさんの事例とその検討
付録 スピリチュアルケアワーカー養成に向けて
1. スピリチュアルケアワーカー論(援助者論)
2. 養成のためのプログラム?どんな教育プログラムか
引用文献・参考文献
あとがき