リハビリテーションの技術は進んだとはいえ、障害を根治するほどではない。そうしたなか、介護期には右肩上がりの身体機能・能力向上をよしとする評価を離れ、新しいリハビリテーションの考えと手法の導入が必要とされている。
10年後、20年後、30年後と、次々に超高齢社会の津波が押し寄せようとしている。それを乗り切るには、堤防を高くし(施設数を増やす)、津波(団塊)を崩す(健康寿命を延ばす)などの対策が考えられる。その前提として老いと死を捉え直すことから始め、本当の尊厳を支えるケアに到達する知恵が本書には盛り込まれている。
どのような元気な若者も、たとえ老衰であっても、やがては介護を受ける。医療のなかに介護職を含めたリハビリテーションが確立されれば、改善が見込まれない人にもあたたかいケアのサービスが届いていく。
はじめに
第1章 到来する超高齢社会の認識
(1)半端ではない超高齢社会
(2)団塊は「津波」
ただの大波ではない
津波の1波、2波、3波
死亡場所の推計と孤独死
第2章 超高齢社会はこうして乗り切る
(1)津波を乗り切る2つの対策
堤防を高くする制度とサービスの量
津波を崩す健康寿命
死亡場所の推計と孤独死
(2)介護の尊厳
高齢者介護研究会の報告とそれに基づく改定
逆さから考えてみる
尊厳の反対は虐待
第3章 知っているようで知らない介護予防のポイント
(1)介護保険法第4条
抜け落ちた要介護者の「介護予防」
要介護者の介護予防
廃用症候群は進行性の障害
(2)理念の整理-抜けている「介護困難の予防」の考え
介護を困難にする状態
介護困難の予防・解除とは何か
(3)介護予防は、なぜ浸透しないのか
国民の8割が知らない
言葉が良くなかったのか
(4)住民参加型の介護予防事業の展開
住民の介護予防リテラシー
人のつながりが生まれる事業を
(5)自分で自分を守る
介護予防の2つの線
守るも攻めるもこの1線
越えねばならぬこの1線
(6)自分でやること、行政がやること
自分でできることは、自分でやる
行政はセーフティーネットを張る
第4章 「介護期」リハビリテーションの提言
(1)医療の中に介護職を含めたリハビリテーションの確立を
(2)介護福祉士不足スパイラル
介護職の社会的な地位の確立のために
介護福祉士会に加盟するよう、緊急提案する
「尊厳」を切り札に戦う
(3)仕事の評価を工夫する
「右肩下がり」の人たち
双方向から検証
2つの評価法の提案
遺体の評価-減点遺体
身体活動の期間からの評価
(4)「終末期リハビリテーション」の反省
終末期リハビリテーションは、なぜ浸透しにくいのか
介護期リハビリテーションの対象者と概念
(5)リハビリテーション医療の流れに「介護期」を
参考文献
おわりに