構造構成医療学について、初めて本格的に論じられた書籍である。構造構成医療学とは、「構造構成主義の概念ツールを用いて、医療そのものや医療の中に存在しているさまざまな問題を論じていこうとする営み」ということができる。構造構成主義という哲学的・原理的な視座をもって、医療の問題を本質的かつ根本的な視点から論じるという試みは、医療全体のさまざまな分野において適応できる。
さらに、脳科学や認知科学の成果を援用し、「ひとで成り立つ医療の源の視点」のひも解きを行っている。そして、これまでにない医療認識の基盤を提示するとともに、日常臨床での信念対立の根底にまで遡ってその理由を理解することによって、協働の本質論を提供している。「医療全体に通底する」内実をもつ緩和医療を中心に論じることが、同時に医療一般に通じる内容となっている。
1問題の所在
緩和ケアの特徴と関連し本質的に内在する問題について
「辛さ」に焦点を当て,これに対応する-主観を治す
全人的医療を志向する-意味や価値をも対象とする
多職種によるチーム医療を重視する-信念対立と相乗効果
COLUMN 1
構造構成主義とは何か
2構造構成主義について
構造構成主義とは何か
構造構成主義が持つ関心
構造構成主義は道具である
構造構成医療学とは何か
COLUMN 2
構造構成主義の道具は「原理集」である
3重要な概念について
主客問題・認識問題
自然的態度
判断中止
還元(現象学的還元)
現象
志向相関性
構造
COLUMN 3
LIFE IS A GAME!
ソシュール言語学
言葉の恣意性
言葉の差異性
言葉の蔽盲性【へいもうせい】
記号論的還元
戦略的ニヒリズム
マインドフルネス(気づき)
COLUMN 4
「今,ここ」を生きる
4臨床に直結する7つの具体例
「痛み」について
「せん妄」について
COLUMN 5
全人医療の系譜
「QOL」について
「スピリチュアルペインに関係した分類」について
「スピリチュアルペインとそのケア」について
COLUMN 6
6歳のミッションステートメント
「チーム医療における信念対立」について
「チーム医療における相乗効果」について
参考文献
あとがき
謝辞