本書は、日々、緩和ケアを実践する方々の助けとなることを願って作られた。そして、医師向け、看護師向けなどと職種を限らず、患者に関わるすべての職種にとって「共通言語」として使えるようになっている。
また、次のような特色をもっている。(1)即戦力となることを重視して、一般名から探す手間を省き、そして具体的に投与量を記述。(2)白衣に入るポケットサイズで、持ち運びに便利。(3)症状マネジメント、ケアの工夫、説明の仕方、看取りのケアなど、緩和ケアで生じるほとんどの問題をカバー。(4)看取りのケアや、呼吸困難のケアなど、がん以外の患者さんにも応用可能な内容。(5)注射薬が利用しにくい時の対応など、在宅での工夫を取り入れている。
文字だけでは伝わらない情報は26種類のパンフレットとして、ホームページからのダウンロードで即、臨床や患者さんへのケアにつなげられるようになっている
I はじめに
1.目的
2.使用にあたって
II 評価
1.症状の評価の仕方
(1)簡便な症状評価の問診
(2)患者による症状評価の方法
(3)医療者による症状評価の方法
a)STAS-Jの使い方
b)「疼痛の評価シート」の使い方
2.終末期がん患者の病状の変化と余命の予測
(1)予測される病状の変化
a)肺がん,肺転移など肺病変を主体とするもの
b)黄疸,肝転移など肝病変を主体とするもの
c)消化管閉塞,がん性腹膜炎を主体とするもの
(2)生命予後の予測
a)Palliative Prognostic Score
b)Palliative Prognostic Index
III 症状マネジメント
1.疼痛
(1)非オピオイドの開始
(2)オピオイドの導入
(3)残存・増強した痛みの治療
(4)オピオイドの副作用対策 〈便秘は(3)〉
a)眠気
b)せん妄
c)嘔気
2.呼吸器症状
(1)呼吸困難
(2)咳・痰
3.消化器症状
(1)嘔気嘔吐
(2)消化管閉塞による嘔気嘔吐
(3)便秘
(4)腹部膨満感
(5)食欲の低下
4.倦怠感
5.せん妄
6.不眠
7.気持ちのつらさ
8.治療抵抗性の苦痛
9.死が近づいたときのケア
IV 緩和ケアのスキル
1.疼痛マネジメントのスキル
(1)オピオイドスイッチング
(2)鎮痛補助薬の使い方
(3)経口オピオイドを内服できなくなったときの対処
(4)フェンタニルによる鎮痛の開始
(5)神経ブロックが有効ながん疼痛
2.ステロイドの使い方
3.高カルシウム血症の治療
4.持続皮下注射
5.皮下輸液
6.口腔ケア
7.在宅緩和ケアのスキル
(1)消化管閉塞により内服・飲水ができなくなった場合の対応
(2)死亡直前期の臓器不全による呼吸困難とせん妄の対応
(3)看取りのときの臨時指示例
V 悪い知らせを伝える
1.悪い知らせを伝える方法
2.緩和ケアを紹介する
3.答えにくい質問
VI 地域連携のためのツール
1.退院支援・調整プログラム
2.「わたしのカルテ」
VII 資料
1.オピオイドについての資料
(1)オピオイド製剤一覧
(2)オピオイド力価換算表
(3)オピオイドのレスキュー計算表
2.緩和ケアで使用される向精神薬一覧
3.参考文献
VIII 評価用ツールと患者・家族用パンフレットの例
1.「生活のしやすさに関する質問表」
2.患者・家族用パンフレットの例「息切れ,息苦しさに困ったとき」
3.患者・家族用パンフレットの例「これからの過ごし方について」
4.「痛みの経過シート」
IX 索引
1.FAQ一覧
2.事項索引
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