「生活行為向上」の根底ある意識は、「作業」「作業すること」「作業の力」が脚光を浴びたというものであった。まさに、作業療法が脚光を浴びたのであり、環境療法との合体した「園芸療法」が注目されると再確認して執筆作業を始めた。
「作業」とは何か、「作業する」とは何かを、真摯に追求し続けることが作業療法の世界に求められて久しいが、そこが不十分なのではないか。それを深く、強く意識させた「生活行為向上」に働きかける「作業」という視点こそ生命線だ。作業療法士は、今、「作業」の重大さを再認識したのだ。
作業療法を学びたい人たちの、具体的入門書として、また作業療法士諸氏の気づきとして本書が活用されることを願う。
まえがき
第1章 作業療法士がまだいない時代から、作業療法を模索してきた ゲスト=澤 治子・辰巳三代子
第2章 日本のリハをみんなで引っ張っていく、そういう時代の中で仕事をしてきた ゲスト=古川 宏
第3章 言葉・作業・身体の理解を抜きにして作業療法は創れない ゲスト=山根 寛
第4章 高次脳機能障害や認知症の方が何とか在宅のまま生活できる方法を工夫したい ゲスト=種村留美
第5章 神さまがよく導いてくれて「夢のみずうみ」が生まれた ゲスト=藤原 茂
第6章 臨床の中で自分で考え、判断し、それを言語化できる作業療法士を育てたい ゲスト=辛島千恵子
第7章 その人の生活空間を感じとり、その場で「こうしたらいいよ」と言えるようでありたい ゲスト=小川敬之
第8章 「存在を肯定する」作業療法を目指して ゲスト=田中順子
第9章 人は最期まで変わっていける -OTはそのきっかけになる何かを提供できるかもしれない ゲスト=目良幸子
第10章 最後の最後までここで楽しく過ごしてほしい ゲスト=石井晴美
インタビューを終えて 対談 鎌倉矩子・岩﨑清隆