「生活行為向上」の根底ある意識は、「作業」「作業すること」「作業の力」が脚光を浴びたというものであった。まさに、作業療法が脚光を浴びたのであり、環境療法との合体した「園芸療法」が注目されると再確認して執筆作業を始めた。
「作業」とは何か、「作業する」とは何かを、真摯に追求し続けることが作業療法の世界に求められて久しいが、そこが不十分なのではないか。それを深く、強く意識させた「生活行為向上」に働きかける「作業」という視点こそ生命線だ。作業療法士は、今、「作業」の重大さを再認識したのだ。
作業療法を学びたい人たちの、具体的入門書として、また作業療法士諸氏の気づきとして本書が活用されることを願う。
第 I 部 理論編
序章1 生活行為力を高める「作業療法」
序章2 健康づくりに役立つ「園芸」作業を活用する
第1章 園芸が“療法”と結びつく理由をつかむ
A 園芸活動をすることで、「日常の生活動作」に変化が生まれる
B 園芸作業と日常の生活動作の要素は共通している
C 園芸療法と園芸利用法があっていい
D 園芸療法の定義は「作業療法」と「環境療法」の合体
E 園芸療法は「植物」という名医が行う
F 園芸作業が療法となったときの実態紹介
G 「自然の額縁」と名づけた園芸療法プログラムから、療法を考える
H 「こころ」が動けば「身体」も動くから療法となる
I 園芸療法プログラムを実践する指導者に求められる2つの基本姿勢
J 療法となるための心得10カ条
第2章 「生活行為力」とは何か
A 「生活機能」という内容を知っておかないと、先に進めない
B 自立心を引き出す「環境療法」
C 環境刺激スケッチ
第3章 「生活する」ことは「自分トンネル」を掘ること
A 人間は自分の内に「自分トンネル」を掘っている
B 人間は8つの「自分力」をもつ
C 「作業」には、いきる4大栄養素「MILK」がある
D 「MILK栄養10元素」と「自分力」への効能
E 「MILK微細30成分」
F 「自分トンネル」掘削中は絶えず「栄養素」が補給される
G 「自分トンネル」内で開演する演目「いきる力」(2幕7場)
第4章 園芸作業が生活行為力を向上させる
A 在宅生活行為力評価
B 一コマ漫画方式の「過程分解」
C 「作業すること」が醸造発酵する生活行為向上成分
D 作業が醸造する9成分と生活行為力向上
E 生活のリズムをつかむ
第 II 部 基礎知識編
第1章 草花園芸の知識とは
A 歴史に登場する園芸
B 分類
C 生育の環境要因
D 野菜園芸の知識とは
E 果樹園芸の知識とは
F その他の植物の知識とは
第2章 造園(Landscape architecture)の知識とは
A 庭園
B 造園設計
C 造園材料
D 造園施工
E 造園管理
F 和製園芸療法ガーデン(1/fガーデン)
G 日本にあった日本人の発想による日本人向けの庭
第 III 部 実践編-どこでも園芸療法-
第1章 季節をつかむ園芸療法
A さまざまな気候からみた園芸療法
B 夏に行う園芸療法
C 冬に行う園芸療法
第2章 町・道で見つけた園芸療法
A 懐かしき風景 柿の木のある家
B 木の実や木の葉を使った園芸療法
C 道端の風景を作品にしてみましょう
第3章 野山、川、海辺で園芸療法
A 山に登って行う園芸療法
B 川辺で園芸療法
C 海辺の園芸療法
第4章 1人でも仲間ともできる園芸療法
A 野菜を使った園芸
B おひとり様園芸療法
第5章 いろいろできます園芸療法
A ペットボトル園芸
B 水を使わず花を飾ろう「モイストポプリ」
C 押し花で遊ぼう
第6章 誰でも園芸療法できる工夫
A 底上げ式花壇作り
B 座位作業向け底上げ式花壇
生活行為向上のための一口メモ
あとがき