訪問リハビリテーションは、他の地域ケア・サービスとともに、その人らしい暮らしを支えるヒューマンなサービスである。在宅医療が重視される地域包括ケアシステムにおいて、他の訪問系リハサービスとともに今後ますます重要な役割を果たすことが期待されている。
訪問リハでは、対象者の生活機能全般を見直し、生活状態を見定め、適切な時期に適切な手段を選択できるようにしていく必要がある。そのためには、訪問リハの歴史、位置づけを学ぶことが前提として大切である。そして、評価・アプローチ・計画の立て方の基本を熟知しなければならない。また、訪問リハ事業所の管理・運営にも項を割いて実際的なものとしている。付録としては、実務に必須であるさまざまな計画書・報告書などの書式集を載せている。
訪問リハは、在宅という現実の生活の場で、日常生活活動の自立と社会参加の向上を図れる最良のサービスである。これから訪問リハを始める人、現場で試行錯誤しているスタッフなど、よりよい訪問リハを追及する専門職のための入門書であり、実践書となっている。
編集にあたって 宮田昌司
序章 訪問リハビリテーションに期待すること
在宅生活を支える訪問リハビリテーション 鈴木邦彦
訪問リハビリテーションと高齢者ケア 佐藤美穂子
地域包括ケア時代の訪問リハビリテーション 栗原正紀
第 I 章 訪問リハビリテーションの概要と位置づけ
1.訪問リハビリテーションの定義 宮田昌司
2.訪問リハビリテーションの歴史と協会活動 伊藤隆夫
3.地域包括ケアにおける訪問リハビリテーションの位置づけと可能性 大塚英樹,他
4.地域リハビリテーションにおける訪問リハビリテーション 伊藤隆夫
5.訪問リハビリテーションの現状と課題 宮田昌司
6.訪問リハビリテーションに関わる諸制度の中の位置づけ 小笠原正
第 II 章 訪問リハビリテーションの基本と理解
1.訪問リハビリテーションの基本的な考え方 鈴木 修
2.訪問リハビリテーションにおける国際生活機能分類(ICF)の視点 野尻晋一
3.訪問リハビリテーションの対象者 鈴木英樹
4.訪問リハビリテーション提供の概要
A.訪問リハビリテーションの開始から終了までの流れ 鈴木 修,他
B.訪問リハビリテーションにおける多職種連携 齋藤正美
第 III 章 訪問リハビリテーションの実際(評価・アプローチ・計画)
1.評価とアプローチ
A.在宅における情報収集と情報提供 鈴木英樹
B.在宅における健康状態の評価とアプローチ 鈴木英樹
C.心身機能・身体構造の評価とアプローチ 真鍋阿沙子
D.活動と参加の評価とアプローチ 宇田 薫,他
1)ADL(狭義)セルフケア
食事/排泄/入浴/更衣/整容/移動・移乗/コミュニケーション
2)ADL(日常生活関連活動)
洗濯/掃除/調理
3)社会参加
行事への参加/社会参加の準備と支援
E.環境因子の評価とアプローチ 内田正剛
F.個人因子の評価とアプローチ 宇田 薫
2.プランニングとモニタリング 小笠原正
3.ゴールセッティング 小笠原正
第 IV 章 訪問リハビリテーション事業所の管理・運営
1.訪問リハビリテーション事業所の管理・運営の基本 座小田孝安,他
2.リスクマネジメント 中間信一
3.書類管理
A.訪問看護ステーション 中間信一
B.訪問リハビリテーション事業所 齋藤正美
4.スタッフの管理・育成 鈴木 修
5.経営管理 座小田孝安
6.情報管理 齋藤正美
7.利用者の確保 座小田孝安,他
【付 録】
1.訪問リハビリテーション運営規程
2.訪問看護ステーション運営規程
3.訪問リハビリテーション契約書
4.訪問看護ステーション契約書
5.訪問リハビリテーション重要事項説明書
6.訪問看護ステーション重要事項説明書
7.個人情報使用同意書
8.興味・関心チェックシート(ニーズ把握票)
9.訪問リハビリテーション実施計画書(アセスメント)
10.訪問リハビリテーション実施計画書
11.リハビリテーション会議録
12.プロセス管理票
13.診療情報提供書
14.訪問看護指示書
15.訪問看護計画書
16.訪問看護報告書
17.ヒヤリ・ハット報告書
18.介護保険事故報告書