生き方そのものがドラマであり、詩である著者からの希望のメッセージ
わが庭に舞踏会のごと華やぎて琉球すみれ群れ咲く朝(あした)
——短歌とは、他の文章とは違い、知れば知るほど深い意味が感じられ、日本人であることを喜び、また沖縄に移り住むようになって琉歌を知り、それを強く感じさせられています。しかし、琉歌は、わたしにとって、これからの学びの第一歩です。沖縄は、日本国ではありますが、いろいろな面で厳しくまた人間的なやさしさを感じさせられています。そのことは今後のわたしの人生の課題でもあります。(「あとがき」より)
唯一自由に動く左足指で絵を描き、短歌を作り、生活する重度障害者である著者。世界身体障害者芸術家協会会員であり、人間のやさしさをふっと感じさせる童画や俳画を主に描いてきた。
また、反戦・平和・障がいなど絵にできない心象には、その気持ちを短歌の短い言葉の中に込める。本書はこれまで約60年間に培ってきた短歌を選りすぐって集大成したものである。「人が好き、土が好き、そして私が好き」と人類愛を謳い、自然を賛美する透徹した眼差しが強く読者の心に届けられるだろう。
〔著者のプロフィール〕
木村浩子。1937年生まれ、総ての学歴を有せず。1955年、広島短歌会結社「真樹」会員。1962年、世界身体障害者芸術家協会会員。1987年、沖縄短歌会会員。2014年、NPO法人共に生きるネットワーク「まなびやー」理事。
著書には、歌集『足指に生きる』(1966年)、『わが半生記』土の会(1967年)、詩画集『わらべ その詩』社会福祉法人東京コロニー(1985年)、『おきなわ土の宿物語』小学館(1995年)、『土の宿から「まなびやー」の風がふく』青海社(共著、2009年)、『二人つれづれ』ボーダーインク(共著、2011年)などがある。