<編集>
木澤義之、志真泰夫、高宮有介、恒藤曉、宮下光令、山崎章郎
<企画担当>
菅野康夫、山口崇
循環器疾患の中でも心不全は大きな割合を占めるが、2018年4月から末期心不全が緩和ケア診療加算の適応疾患に加わった。わが国の緩和ケアは、今までがんに罹患した患者・家族を対象として発展してきた。しかし、そもそも緩和ケアとはその対象とする疾患を問わず、すべての生命の危険がある疾患に直面している患者に、必要性に応じて提供されるものである。
本書では、循環器の緩和ケアの現状をoverviewしたうえで、エキスパートらが現在の取り組みの工夫を紹介した。心不全の緩和ケアが正しく理解され、循環器疾患に対する基本的緩和ケアの教育・普及・実践が広く行われ望まれる。そして、すべての心不全患者が基本的な緩和ケアを受けられるようになり、Complexity(複雑さ)が高く必要がある患者には専門的緩和ケアが適切に提供できるようになることを目指し企画した。
序 文 木澤義之
第Ⅰ部 心不全の緩和ケア─心不全パンデミックに備えて
1.わが国の心不全緩和ケアの現状
A.心不全に対する緩和ケアが注目されている経緯 安斉俊久 8
B.心不全緩和ケアの概要と展望 佐藤幸人 14
2.心不全の緩和ケアを充実させるために
A.医師からの視点
1)循環器専門医の視点から 菅野康夫 18
2)緩和ケア医の視点から 山口 崇 21
B.看護からの視点 高田弥寿子 25
C.リハビリテーションからの視点 川端太嗣 28
D.ソーシャルワークからの視点 ─生活者の視点と希望を叶えるための体制構築 岡村紀宏 32
E.メンタルヘルスケアからの視点 庵地雄太 36
3.各施設における心不全緩和ケアの工夫
A.病院診療
1)国立循環器病研究センター(大阪府吹田市) 平山敦士,他 47
2)兵庫県立姫路循環器病センター(兵庫県姫路市) 大石醒悟 49
3)久留米大学病院(福岡県久留米市) 柴田龍宏 52
4)飯塚病院(福岡県飯塚市)─市中病院における心不全緩和ケア 大森崇史 54
B.在宅診療
1)ゆみのハートクリニック(東京都豊島区) 田中宏和 56
2)きずなクリニック(福岡県久留米市) 池田真介 58
3)くるす医院(兵庫県姫路市)─一開業医の在宅療養と心不全 来栖昌朗 60
第Ⅱ部 統計と解説
1.データでみる日本の緩和ケアの現状 升川研人,他 63
2.2019 年度 ホスピス緩和ケア週間 安部奈津子,他 100
3.緩和ケア関連の資料 102