「当事者」と作業療法
─障害や病の経験から学ぶ力を鍛える
◆企画担当・責任編集
田島明子
「障害受容」の言葉を現在の作業療法士がどのように受け止め、臨床に向き合っているのだろうか。障害や病の経験をもつ作業療法士が、作業療法の問題点や課題について的確に言及する。そして、作業療法の捉え直しになるような実践にも紙数を割いた。変化する作業療法の未来形として、多様な〈生〉が肯定的に生きられるようなコミュニティや、社会の創成を目指した作業療法士による取り組みを紹介し、作業療法の実際を供覧した。
作業療法は、医療領域でも当事者性をより重視した臨床実践学である。当事者性からの学びをどう実践に結び付けるかが、これまで以上に求められている。
「当事者」と作業療法
─障害や病の経験から学ぶ力を鍛える
序にかえて 当事者性と専門性の邂逅 田島明子
第Ⅰ部 臨床経験のなかでの「障害受容」
第Ⅰ部の内容とそのねらい 田島明子
1 「障害受容」という言葉では表現できないもの 高瀬 駿
2 「障害受容」のグラデーション 山本麻子
3 「障害受容」という言葉を位置づけ直す 齋藤佑樹
4 作 業療法の臨床場面における「障害受容」の使用状況と今後の課題
田島明子・岡 耕平・太田健一・石原八重子
第Ⅱ部 障害や病の当事者経験からとらえた作業療法
第Ⅱ部の内容とそのねらい 田島明子
1 生活全体をイメージしたかかわりこそが 押富俊恵
2 作業療法の新たなアイデンティティ 田中順子
3 支援とは何か 支援者とは誰か 増田雄亮
4 作業療法士としてのアイデンティティ 水口和代・清水一輝・田島明子
5 障害当事者経験から感じた作業療法 吉田尚樹
6 障害・病のエピソードとリハビリ テーション─障害のありかはどこ?─
山田隆司
第Ⅲ部 内省力を高める思考のストレッチ
第Ⅲ部の内容とそのねらい 田島明子
1 療法士手足論─療法を内省して 古井 透
2 作 業療法と作業療法士の乖離─そして作業療法士の仕事
河本のぞみ
3 療法士の当事者研究の意義 田島明子
4 療 法士の当事者研究─実践から学んだこと
喜多一馬・須藤 誠・楠田菜緒子・平石暢之・遠山友季
第Ⅳ部 多様な〈生〉を支えるために コミュニティや社会の規格を変える
第Ⅳ部の内容とそのねらい 田島明子
1 「 主体性」に応じた支援のあり方─身体障害領域の取り組み
長谷川幹
2 ニュージーランドにおける当事者主体の活動から学んだこと
─発達障害領域の取り組み 大郷和成
3 暮 らしのなかでの作業療法のあり方─高齢障害領域の取り組み(1)
久保直子・菅原健介・金子智紀
4 認 知症の人への理解と地域での支援─高齢障害領域の取り組み(2)
小川敬之
5 N PO 法人ルーツ・ユアセルフの歩み─精神障害領域の取り組み
髙橋章郎・宮崎雄平
コラム
1 「住む」をつくる 西野 歩
2 「働く」をつくる 伊藤健次郎
作業療法のある風景 第5回 らぴすらずり 知花さくら